映画『ケイコ 目を澄ませて』を見ました。耳が聞こえない人を丁寧に描写し、自分が耳が聞こえなかった場合を想像させ、そしてその状況で生きることを実感させてくれる映画でした。いい映画です。
小笠原恵子さんの自伝「負けないで!」を原案にした、耳が聞こえないボクサーの実話をもとに描いたということです。
丁寧な描写がこの映画のすばらしいところです。それによってさまざまなことが共感できます。耳が聞こえない人を描いた映画は最近多く見られます。その中でもこの映画は、さまざまな場面を丁寧に描写しています。聞こえないことの苦労も、逆に聞こえないで過ぎていくことによって助かる部分も描かれます。しかし、本当に助かっているのかもわかりません。周りの人々の気の使い方も様々です。それにどう対応するのかも面倒になっていきます。そこで生まれるフラストレーションも共感できますし、そこで生まれるあきらめのような気持ちも共感できます。
主人公は様々な感情の間で揺れ動きながらもひたむきに生きていきます。その気持ちを受け止めながら、周りの人たちもひたむきさに答えようとします。感動します。
一方では歴史のあるボクシングジムが経営できなくなり、人情も消えていく近年の日本社会が象徴的に描かれ、一方ではだからこそ人情を大切にして生きていく人々が描かれます。本当にいい映画でした。
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