世界の街角

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注目の北タイ陶磁4題・その1

2015-07-09 07:36:15 | 北タイ陶磁
サンカンペーン陶磁は輸出されていた?


 ?マークを付けたのは、外でもない、当該ブロガー自身の目で確かめた事が無いことによる。
 先日(2015年7月6日)のBlog「の~んびり タイランド2:チャンタブリー国立海洋博物館(3)」に、サンカンペーン陶磁は交易品として沈没船から発見されたとあった。
 以下、字面の多いPageで恐縮である。そのブログによると、チャンタブリー国立海洋博物館の展示には、14世紀末のラン・クイアン沈船の積荷にモン(MON)陶と共にサンカンペーン陶磁が、報告されていると記載されている。更に「THE MING GAP AND SHIPWRECK IN SOUTHEAST ASIA」に掲載されているというラン・クイアン沈船のサンカンペーン陶磁の盤が写真で紹介されている。
 話が反れて恐縮である。チャンタブリー国立海洋博物館には、予てより一度訪問したいと思っていたが、今まで機会がなく訪れることができなかった。Blog「の~んびり タイランド2」を見るに及び、益々訪問したいとの想いはつのっている。
 これらの写真を無断で転載する訳にはいかないので、興味を御持ちの方は「の~んびりタイランド2:2015年7月6日」掲載ブログを御覧頂きたい。

 
(上の写真2点はUNESCOのhpより転載した)
 本題に話しを戻す。14世紀末とは、ランナーにあっては第6代クーナー王(在位1355-1385)と第7代セーンムアンマー王(在位1385-1401)の時代で、第8代サームファムケーン王(在位1402-1441)を経て、最大版図を築いた第9代ティローカラート王(在位1441-1487)に向かって勢いが盛んな時であり、時代の趨勢が窯業にも反映され、それが輸出に繋がったと思われる。
サンカンペーン陶磁の交易で従来からの通説は、生産量も少なく、ランナー領域を越えての交易は、険路・隘路ともあいまって無かったというのが通説であった。
過去からこの通説には疑問を感じていた。写真はオムコイ山中の発掘現場である。



サンカンペーン陶磁が出土するのは、ここオムコイ山中やターク・メーソト等々のタノン・トンチャイ山脈の中である。これらの地はピン川水系ではなく、多くの山川を越えた場所である。
 オムコイ山中1400-1500mの発掘現場に立ってみると、なぜこのような僻地にサンカンペーン陶磁が運ばれ、運搬に便利なピン川→チャオプラヤー川の水運で運ばれた陶磁が、タイ湾で発見されないのは、不思議だとの印象を抱いたものである。
その不思議が現実のものとなり、ラン・クイアン沖沈没船の積荷となって現れたことは、従来の通説をくつがえすものであり、サンカンペーン窯の全体像の再構築が必要である。これも近年の考古学が寄与する成果である。