<先週水曜日の続き>
島根県出雲市斐川町併川(あいかわ)に万九千神社が鎮座している。松本司氏は『古代遺跡・謎解きの旅』なる著書で万九千神社について、以下のように記述されている。
万九千神社には、本殿はなく磐座が鎮座しており、そこから南東方向を望むと大黒山―高瀬山の山塊を望むことが出来る。その中央部は鞍部となっている。大穴持(大国主命)の大穴であろうか。鞍部は聖なる空間であろう。万九千神社に本殿はなく、大黒山―高瀬山の山塊を神の宮のある処、すなわち宮処として拝するものであろう。拝殿の壁の中央に、嵌められた菱形の窓が在る。そこからは大黒山―高瀬山山塊の鈍角のV字型の鞍部が望める。吉野裕子さんの『日本古代呪術』では、この菱形は女陰の造形であり、生命が籠り生命を生み出す『穴』であるという。以上である。
現地に立てば、なるほど南東方向に山塊の鞍部を望むことができる。松本氏はこの鞍部が聖なる空間であると記す。それは大黒山と高瀬山は神体山で、鞍部は陰陽の霊力が籠る処だと記されている。ホンマかいな・・・と思わなくもない。
万九千神社の創祀、創建は定かではなく、奈良時代に編まれた『出雲国風土記』や平安時代の『延喜式』にみえる「神代(かむしろ)社」が、のちの「万九千社」にあたると伝えている。少なくとも約1300年前にさかのぼることができるが、大黒山と高瀬山の鞍部が、聖なる空間との認識が存在していたのかどうか。
(遷宮前の旧・拝殿 白丸の中に菱形の窓を認める)
(拝殿後部の板垣の上方に見えるのが磐座)
また拝殿から磐座を仰ぐところに、菱形の窓があると記されている。万九千神社の拝殿は建て替えられ、2014年10月に遷宮が行われている。その新しい拝殿に菱形の窓はない。
(遷宮後の拝殿に菱形の窓はない)
確かに旧・拝殿には存在していた。しかし、松本氏が述べられるように、菱形の窓が神社の縁起上、最重要であるとすれば、新・拝殿にもそれが踏襲されてしかるべきだが、それはない。う~ん。やや無理筋の見解かと思われる。
尚、ここでは万九千神社と記したが、当該社のHPでは、万九千社と記されており、それが正式呼称のようであることを付記しておく。
<次週水曜日に続く>
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