ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

岩瀬池

2018-04-01 17:28:43 | 香川県
2018年3月21日 岩瀬池
 
岩瀬池は香川県三豊市高瀬町上麻の高瀬川水系左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
岩瀬池の起源は安土桃山時代まで遡り1592年(文禄元年)に地元の郷士武田五兵衛の尽力により築造されました。1630年(寛永7年)には嵩上げと高瀬川本流の導水によりほぼ現在の岩瀬池の規模となりました。
昭和以降では1933年(昭和8年)に樋管工事、1942年(昭和17年)に1メートルの嵩上げ工事、さらに戦後に入り1981年(昭和56年)に香川用水の補給が開始され、2005年(平成17年)には国営農地防災事業により老朽化した堤体の改修が行われました。
ダム便覧では1942年の嵩上げ工事を竣工年度としています。
三豊市岩瀬池土地改良区が行い、249ヘクタールの農地に灌漑用水の供給を行っています。
 
堤体を斜行して管理道路が天端へ続いていますが、入口にチェーンがあり車はここまで。
 
下流面は草が刈られすっきり。
 
天端
 
上流面はコンクリートで護岸。
 
天端に建つ2基の石碑。
 
斜樋の隣にはボートが・・・。
 
斜樋。
 
洪水吐はラビリンス。
 
総貯水容量100万立米を超える大規模な溜池
でも香川ではこのクラスはゴロゴロ。
 
洪水吐導流部はほぼ垂直に落ちます。
 
底樋は確認できませんでした。
 
2141 岩瀬池(1261)
ため池コード
香川県三豊市高瀬町上麻
DamMaps
高瀬川水系高瀬川左支流
17.6メートル
152メートル
1016千㎥/1016千㎥
三豊市岩瀬池土地改良区
1592年築造
1942年嵩上げ工事竣工

香川用水調整池(宝山湖)

2018-04-01 15:36:15 | 香川県
2018年3月21日 香川用水調整池(宝山湖)
 
香川用水調整池は香川県三豊市山本町神田にある水資源機構が管理する灌漑および上水道目的のアースフィルダムです。
讃岐平野に吉野川から流域変更による導水を行う『香川用水事業』の一環として2008年(平成20年)に建設された上水用調整池です。
水資源機構が管理し、吉野川から導水する香川用水の補給を受け、吉野川の急激な水量低下や施設の点検、災害等により通水できない場合などに備えた予備水源となっています。
香川調整池建設以前、当地には神田大池とという灌漑用溜池があり神田大池を取り込む形で香川用水調整池は建設されました。
そのため香川用水調整池は上水道用水供給に加えて、かつて神田大池が有していた調整池下流域への灌漑用水の供給も目的としています。
 
香川用水概要図(水資源機構香川用水管理所HPより)
 
 
 
調整池周辺は公園として整備され、ダム湖である『宝山湖』を周回する遊歩道が整備され周辺住民の憩いの場となっています。
国道377号線や県道218号線に『宝山湖』を示す案内板があり、これに従えば香川用水調整池に到着します。
ダム下から
手前は揚水施設。
 
左岸の洪水吐導流部は直前の大雨による水位上昇を受けて越流しています。
 
ダム下は芝生の公園。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐の先には駐車場と管理事務所があります。
 
ダム湖の宝山湖は総貯水容量307万立米
香川用水が賄う上水道用水約2週間分が貯留されています。
 
右岸にある旧神田大池の碑
貴重な灌漑用水源であった神田大池をつぶして香川用水調整池が建設される過程の地元関係者の苦悩や葛藤が切々と記されています。
 
上流面はロック材で護岸。
 
下流面
さすが水資源機構が管理する施設だけあり、奇麗に刈り払われています。
 
左岸の取水設備。
 
3374 香川用水調整池(1261)
香川県三豊市山本町神田
財田川水系大地川
AW
 
25メートル
240メートル
3070千㎥/3050千㎥
水資源機構
2008年

満濃池(再)

2018-04-01 12:51:43 | 香川県
2018年3月21日 満濃池(再)
 
満濃池(再)は香川県仲多度郡まんのう町の金倉川上流部にある灌漑目的のアースダムフィルダムです。
歴史は古く8世紀初期の飛鳥時代大宝年間まで遡り、その後の決壊では弘法大師(空海)がわずか3カ月で改修を完了させたという逸話も残っています。
平安期にも決壊、復旧を繰り返すも1184年(元歴元年)の決壊以降長く放置され、徳川幕府成立後、高松藩主生駒高俊の命により1631年(寛永3年)に約450年ぶりに復旧され、大河のない讃岐平野を潤す貴重な巨大貯水池は感謝の念を持って満濃太郎と称されました。
明治維新以降、数度の嵩上げ改修工事が行われ、1959年(昭和34年)の第3次嵩上げ工事の竣工により現在の規模となりました。
満濃池(再)は農業用溜池としては総貯水容量1540万立米、湛水面積139ヘクタールと愛知県の入鹿池に次ぐ規模を誇り、香川県内のダムとしては数あるコンクリートダムを凌ぎ貯水容量は最大です。
1870年(明治3年)の改修で設置された樋門は登録有形文化財に指定されているほか、2005年(平成17年)にダム湖百選、2010年(平成22年)に『ため池100選』、2016年(平成28年)にはICID(国際かんがい排水委員会)による世界かんがい施設遺産、2019年(平成31年)に国の名勝に選ばれています。
さらにアースフィルダムとしては数少ない日本100ダムにも選ばれています。
池の管理は満濃池土地改良区が行い3239ヘクタールにおよぶ広大な農地に灌漑用水を供給しています。
 
満濃池右岸は『国営讃岐まんのう公園』として整備されているほか、左岸は満濃池森林公園、堤体直下は親水公園である『ほたる見公園』となっており、中讃地域有数のレクリエーションエリアとなっています。
今回は下流のほたる見公園の駐車場に車を止めて歩いて池へと向かいました。
堤体下の『ほたる見公園』
遊歩道が整備され親水公園となっています。
 
池直下にある取水堰
鋼製フラップゲートで水量を調節し三つの灌漑用水路に分水されます。
 
余水吐はトンネル式導流部となっており、トンネル出口からは自然の岩盤を流下します。
前日までの雨で水位が上昇し、越流した水が自然の滝のように流下しています。
 
底樋樋門と石積み溢流堤
明治期の貴重なコンクリート作りの底樋樋管は国の登録有形文化財及び、Cランクの近代土木遺産に指定されています。
こちらも水位上昇を受けて普段よりも多量の放流をしており、余水路から溢れた水はミニ長篠堰堤のような状況。
 
遊歩道が整備されたほたる見公園。
 
アースフィルの堤体はアーチ状に湾曲しています。
 
右岸の余水吐
越流した水は上から3枚目の写真のトンネル出口へと流下します。
 
総貯水容量1540万立米はアースフィルの農業用溜池としては入鹿池に次いで全国第2位の規模です。
 
左岸の取水塔
取水された水は4枚目の写真の樋門へと送られます。
 
上流面は谷積みの石で護岸されています。
堤体がアーチ状に湾曲しているのがよく分かります。
 
世界かんがい施設遺産の記念碑。
 
日本を代表する灌漑用溜池ですが、巨大な貯水池を支える堰堤は堤高32メートル、堤頂長155.8メートル、堤体堰21万8000立米と意外に小ぶり。
貯水効率はアースフィルダムとしては驚異の70倍強となっており、広大な谷間に対してその隘狭な出口に堰堤を築き効率的な貯水を果たした先人の見る目の確かさには脱帽するばかりです。
 
満濃池
香川県仲多度郡まんのう町神野
金倉川水系金倉川
22メートル
----メートル
5000千㎥/5000千㎥
821年
----------------
3337 満濃池(再)(1260)
ため池コード
香川県仲多度郡まんのう町神野
金倉川水系金倉川
32メートル
155.8
15400千㎥/15400千㎥
満濃池土地改良区
1959年

野口ダム

2018-04-01 02:22:39 | 香川県
2018年3月21日 野口ダム
 
野口ダムは香川県仲多度郡まんのう町塩入の財田川水系財田川上流部にある香川県農林水産部が管理する防災・灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
農林省(現農水省)の補助を受けた県の防災ダム事業で建設された農地防災ダムで、財田川の洪水調節、財田川流域及び春日用水を通じた満濃南西地域へ灌漑用水の供給を目的として1966年(昭和41年)に竣工しました。
香川県所管のダムですが、農水省の補助を受けた農業ダムのため管理は県土木部ではなく農林水産部が行っています。
 
琴平町中心部から県道4号線を南東に進むと右前方に野口ダムが見えてきます。
ダムそばに塩入温泉があり、この温泉が目印となります。
 
左右両岸ともダム下まで接近可能、直前の大雨で水位が上昇しクレスト放流を行っています。
クレストに2門のローラーゲート、ゲートの右岸側下部(向かって左手)に低水位放流口を備えています。
 
右岸ダム下の分水ゲート。
野口ダムが灌漑用水を供給する春日用水はここが起点です。
 
ダム右岸の案内板とモニュメント
ダムそばに塩入温泉があるため、ダム周辺も公園として整備されたようですが、正直言って荒れ気味。
 
天端は歩行者のみ通行可能
ローラーゲートの手前は低水位放流設備の取水バルブ。
 
減勢工と副ダム
左手の建物が塩入温泉管理棟。
 
ダム湖は野口池で総貯水容量は115万立米。
野口ダムは既存の灌漑用ため池の野口池を取り込む形で建設されました。
 
左岸から。
 
香川県のダムではおなじみ、ゲートピアの螺旋階段
対岸は管理事務所で事務所横に斜樋があります。
 
上流から
かなり水位が高くなっています。
 
2178 野口ダム(1259
香川県仲多度郡まんのう町塩入
財田川水系財田川
FA
35メートル
123メートル
1150千㎥/1100千㎥
香川県農林水産部
1966年

木槲池(再)

2018-04-01 00:46:41 | 香川県
2018年3月21日 木槲池(再)
 
木槲(もっこく)池(再)は香川県仲多度郡まんのう町七箇の金倉川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
太平洋戦争末期の1944年(昭和19年)に木槲池耕地整理組合によって築造され、当初は堤高13メートル、総貯水容量8万立米の小さな溜池でした。
1985年(昭和60年)にスタートした県営かんがい排水事業により池の嵩上げ再開発が着手され、1991年(平成3年)に竣工、堤高は27.1メートルとなり総貯水容量は従来の5.5倍となる44万9000立米に拡大されました。
また同事業により近隣26カ所の小規模溜池とパイプラインで繋がれることになり広域かつ効率的な水管理が可能となりました。
池の管理は木こく池水利組合が行い、261ヘクタールの農地に灌漑用水を供給しています。
 
まんのう町から中讃南部広域農道を進むと左手に木槲池が見えてきます。
池の上流側湖畔に駐車スペースがあり各種竣工記念碑や県営かんがい排水事業の説明板が並んでいます。
 
 
 
嵩上げ再開発により堤頂長298メートルの長大な堤体となりました。
堤体を一周できる遊歩道が整備されており歩いて回ってみます。
上流面はコンクリートで護岸。
 
左岸の斜樋。
 
天端。
 
下流面。
嵩上げされる前はちょうど写真真ん中の犬走り程度の高さだったようです。
 
左岸の洪水吐導流部
折からの雨で水位が上昇し越流した水が勢いよく流下しています。
 
左岸洪水吐
途中で折れ曲がった導流堤が特徴的。
 
上流にも斜樋があります。
 
上流側に副堤がありますが、堤高11.5メートルとダムの要件を満たしていません。
 
上流側の湖岸は親水公園として整備されています。
 
総貯水容量は44万9000立米。
マスが放流され秋にはマス釣り大会が実施されます。
 
当池を水源とする金倉川は池から北の満濃池へと流下しますが、ここで貯留された水は金倉川とは逆の池西方の財田川流域農地へと補給されます。
 
2946 木槲池(元)
香川県仲多度郡まんのう町七箇
DamMaps
金倉川水系金倉川
26.7メートル
160メートル
84千㎥/84千㎥
1944年
-------------
2946 木槲池(再)(1258)
ため池コード
香川県仲多度郡まんのう町七箇
金倉川水系金倉川
27.1メートル
298メートル
449千㎥/446千㎥
木こく池水利組合
1991年再開発竣工