ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

石手川ダム

2018-04-03 15:13:15 | 愛媛県
2018年3月22日 石手川ダム 
 
石手川ダムは愛媛県松山市宿の町の重信川水系石手川上流部にある国交省四国地方整備局が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
特定多目的ダム法により建設された多目的ダムで、石手川の洪水調節、松山市への上水道用水の供給、松山市北部樹園地への灌漑及び防除用水の供給を目的として、1972年(昭和47年)に竣工しました。
とりわけ上水道用水については松山市の上水道需要の約半分を賄っており、文字通り『松山の水がめ』となっています。
 
石手川ダムは国道317号線沿いにあり、奥道後温泉から北東に進むとダムに到着します。
今回はまず石手川沿いの旧道からダム下へと向かいました。
ホロージェットバルブによる利水放流が行われ大量の水しぶきが舞っており、ほんの数分撮影していたにもかかわらずずぶぬれになってしまいました。
 
非常用洪水吐としてクレストに2門のラジアルゲート、常用洪水吐としてコンジットに高圧ラジアルゲート、さらに利水放流設備としてホロージェットバルブを備えています。
右手の目盛のような白線は補修の足場跡です。
 
左岸に管理事務所があります。
 
フーチングが下に向かうにつれどんどん巨大化します。
一方堤体は左岸側がやや湾曲。
 
右岸国道沿いに駐車場とトイレが設置され展望台もあります。
手前の円形の建物は取水設備、2門のラジアルゲートの間にコンジットの予備コースターゲートがあります。
下流面は年代相応にコンクリートが黒ずんでいますが、上流面は漂白したみたいにきれい。
 
左岸の艇庫とインクライン。
 
天端は車両通行可能。
 
導流部と減勢工
松山市向けの上水道用水を供給するため常時この放流が行われています。
副ダムの先の建物は石手川北部揚水機場でここから松山市北部の果樹園へに向けて灌漑用水をポンプアップします。
 
下流面
堤体は左岸で湾曲しており広角で撮るとなんだか重力式アーチのような格好に・・・。
 
上流からゲートを遠望。
 
石手川ダム完成後も松山市の上水道事情は改善せず度々取水制限が行われています。
西条新居浜地域からの導水や、面河ダムからの導水、さらには南予からの導水などが検討されましたが、いずれもコスト面や相手地域の反対などから実現には至っていません。
 
追記
石手川ダムには430万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに755万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2264 石手川ダム(1271
愛媛県松山市宿野町
重信川水系石手川
FAW
87メートル
277.7メートル
12800千㎥/10600千㎥
国交省四国地方整備局
1972年
◎治水協定が締結されたダム

横谷調整池

2018-04-03 14:16:26 | 愛媛県
2018年3月22日 横谷調整池
 
横谷調整池は愛媛県松山市食場町の重信川水系石手川左支流横谷川にある灌漑目的のロックフィルダムです。 
愛媛県の道前・道後両平野に仁淀川水系面河ダムから流域変更による導水を行う『道前道後平野農業水利事業』の一環として1967年(昭和42年)に建設された農業用調整池です。
管理は道後平野土地改良区が受託し、面河ダムを水源とする道後北部幹線用水路からの補給を受け、需給ギャップの緩和や水不足の際のバックアップとなっています。
 
道前道後平野農業水利事業概要図(農水省HPより)
 
横谷調整池は松山市湯山の国道317号線と松山市平井町を結ぶ農免道路沿いにあります。
ダム下から。
型式はロックフィルですが芝が張られ見た目はアースダム、
右岸に取水設備からの底樋、左岸に洪水吐導流部があり前日までの雨を受けて激しく越流していました。
 
農免道路沿いに管理所への入口があり道前道後平野農業水利事業の説明板が置かれています。
 
管理事務所や天端への管理道路は立ち入り禁止。
 
農免道路から
上流面はロックフィルダムで護岸。
 
管理所は取水設備操作室を兼ねており斜樋のシャフトが突き出ています。
 
洪水吐は横越流式。
 
追記
横谷調整池は洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに20万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2260 横谷調整池(1270
愛媛県松山市食場町
重信川水系横谷川
31メートル
74.4メートル
502千㎥/454千㎥
道後平野土地改良区
1967年
◎治水協定が締結されたダム

逆瀬池

2018-04-03 12:35:20 | 愛媛県
2018年3月22日 逆瀬池
 
逆瀬池は愛媛県松山市平井町の重信川水系小野川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムで管理は松山市梅本地区土地改良区が行っています。
現地竣工記念碑によれば1924年(大正13年)に築造されるも、1946年(昭和21年)の南海地震で伏樋(底樋)が損傷、12年後の1956年(昭和31年)にようやく修復が成りました。
その後老朽化により漏水が多くなったため1999年(平成11年)から2003年(平成15年)にかけて愛媛県の溜池等整備事業による改修が行われ現在に至っています。
なおダム便覧では『逆瀬池』となっていますが、樋門の扁額には『坂瀬池』、改修記念碑では『逆谷池』となっており名称はまちまち。ここではダム便覧に従って逆瀬池で統一します。
またダム便覧では所在地が松山市北梅本となっていますが池があるのは松山市平井町です。
 
松山市街から県道196号を北上し、小野谷集落の梅元寺手前から逆瀬池への道が分かれます。
道幅が狭いので県道路肩に車を置き歩くこと1~2分で逆瀬池が見えてきます。
 
左岸の洪水吐導流部
前日までの雨を受けて越流しています。
 
左岸に取水設備からの底樋樋門。
愛媛県ではおなじみ、扁額がついた立派なポータル。
銘は『坂瀬池』。
 
下流面はきれいに刈り払われて、堤体を斜行して管理道路が登ってゆきます。
 
下流面。
 
天端と上流面。
 
2003年(平成15年)の改修記念碑
こちらは『逆谷池』。
 
左岸には漕艇競技用の艇庫があります。
さすがボート王国愛媛。
でも最近使われた様子はありません。
 
洪水吐はラビリンス
貯水池は総貯水容量50万立米。
 
洪水吐導流部。
 
左岸上流側に取水設備がありますが、手前で立ち入り禁止となり撮影できませんでした。 
 
2227 逆瀬池(1269)
ため池コード
愛媛県松山市平井町
DamMaps
重信川水系小野川右支流
24.9メートル
145メートル
500千㎥/500千㎥
松山市梅本地区土地改良区
1924年

佐古ダム

2018-04-03 10:36:21 | 愛媛県
2018年3月22日 佐古ダム
 
佐古ダムは愛媛県東温市竹林の重信川水系佐川川上流部にある灌漑目的の重力式コンクリートダムです。
少雨に加えて大河のない愛媛県の道前・道後両平野への水利を図るため、仁淀川水系から流域変更により両平野に導水する道前道後平野農業水利事業が1967年(昭和42年)に竣工し、両地区は安定した用水確保という悲願を達成しました。
しかし1980年代に入り施設の老朽化や稲作から園芸農業への転換など、社会・農業情勢の変化により新たな用水確保が迫られてきました。
農水省は『道前道後平野農業水利事業Ⅱ期』に着手し、新たな道後平野向け水源として2001年(平成13年)に佐古ダムが竣工しました。
佐古ダムは当初当地にあった灌漑用溜池である佐古谷池を呑みこむ形で建設され、道後平野における面河ダムの補給がない期間(10月7日~6月5日)における灌漑用水の供給を目的としており、管理は道後平野土地改良区が受託しています。
 
ダム直下から。
洪水吐は農業用ダムらしく自由越流式クレストゲートのみ。
前日までの雨で水位が上がり越流が続いています。
 
堤高31メートルに対して堤頂長210メートルの横長ダム。
 
右岸から
手前の建物は利水放流設備と揚水機場
二毛作や果樹栽培への転換など農業情勢の変化を受け、面河ダムの補給がない期間(10月7日~6月5日)における用水の確保を目的としています。
特筆すべきは独特のカーブを描く漸縮型堤体導流壁
土木屋さん泣かせです。
 
右岸高台から。
ダム湖は総貯水容量111万立米。
 
下流面。
 
天端は歩行者のみ通行可能
施設建屋の屋根はグリーンで統一されています。
 
天端から減勢工
導流壁が独特の形状になっています。
 
 
ちょっとツッパリリーゼントっぽい取水設備。
 
上流面。
 
道前道後農業水利事業Ⅱ期では道前では志河川ダム、道後では佐古ダムが建設され時代に即した灌漑用水の供給が可能となりました。 
 
追記
佐古ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに13万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3002 佐古ダム(1268
愛媛県松山市下林
DamMaps
重信川水系佐川川
31メートル
210メートル
1110千㎥/1020千㎥
道後平野土地改良区
2001年
◎治水協定が締結されたダム

西山池

2018-04-03 09:48:08 | 愛媛県
2018年3月22日 西山池
 
西山池は愛媛県西条市丹原町古田の新川水系西山川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧では1955年(昭和30年)に丹原町土地改良区の事業によって竣工と記されていますが、それ以外の詳細は不明です。
またダム便覧では所在地が西条市丹原町徳田、河川は新川水系明理川となっていますがいずれも誤りです。
池の管理は丹原町土地改良区が行っています。
 
丹原町古田の興隆寺の大きな駐車場に車を置いて、200メートルほど歩くと西山池が見えてきます。
 
下流面は奇麗に草が刈られており、まるで芝生のよう。
 
天端。
便覧では堤頂長64メートルになっていますが、もっと短いような・・・・
 
上流面。
 
総貯水容量も9万5000立米になっていますが、うーーん・・・
 
左岸の多孔式斜樋。
 
右岸から下流面。
 
右岸から上流面。
 
右岸にある簡易な洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
底樋は確認できませんでした。
 
2244 西山池(1267)
ため池コード
愛媛県西条市丹原町古田
新川水系西山川
24.2メートル
64メートル
95千㎥/95千㎥
丹原町土地改良区
1955年