ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

歌仙ダム

2018-04-04 14:29:28 | 愛媛県
2018年3月22日 歌仙ダム
 
歌仙ダムは愛媛県今治市菊間町川上の菊間川水系霧合川上流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
1973年(昭和48年)に旧菊間町のミカン樹園地向け水源として愛媛県の畑地かんがい事業により建設されました。
しかしその後の台風によって幹支線パイプが寸断する被害を受けたこと、受益農家のみかん経営形態が温州みかんから水のあまり要らないいよかんに変わったことなどから歌仙ダムはその能力を十分発揮できていないのが実情です。
管理は今治市農業土木課が管理を行っています。
 
今治市菊間市街から県道164号線を東に進み、山間部の連続ヘアピンを上がってゆくと歌仙ダムに到着します。
堤高41メートルとアースフィルダムとしてはかなりの高さがありますが、下流から見上げることができないためその高さを実感することはできません。
 
訪問時は樋菅交換工事中で天端から先は立ち入り禁止になっていましたが、工事関係者にお願いしたところ立ち入りを許可していただきました。
工事がなければ天端の先に林道が続き車両は通行可能のようです。
 
下流面
堤高はアースダムとしてはかなり高い41メートル。
 
斎灘を挟んで広島県呉市の倉橋島が遠望できます。
 
総貯水容量は36万6000立米。
 
天端に建つ記念碑。
工事の資材が置かれ裏面の碑文は読めませんでした。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
上流面
直前の雨のせいか流木やゴミが溜まりちょっと・・・・という雰囲気。
 
右岸の斜樋。
 
正直、歌仙ダムという風流な名前から周辺が公園にでもなった洒落たダムを予想してましたがのでちょっと残念。
 
追記
歌仙ダムはは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに3万8000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
2263 歌仙ダム(1277)
愛媛県今治市菊間町川上
菊間川水系霧合川
41メートル
120メートル
366千㎥/325千㎥
今治市
1973年
◎治水協定が締結されたダム

高田池

2018-04-04 13:40:04 | 愛媛県
2018年3月22日 高田池
 
高田(こうだ)池は愛媛県今治市菊間町高田の菊間川水系高田川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によれば1953年(昭和28年)に高田地区の事業として築造され現在も高田地区が管理を行っています。
 
池は菊間町西山の県道197号線と菊間町高田の県道164号線を結ぶ農免道路わきにあります
 
草が刈られすっきりした下流面。
 
農免道路を挟んで建つ記念碑。
 
天端
轍があります。
 
上流面
写真では分かりにくいですがコンクリートで護岸されています。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
アングルを変えて。
千切れたパイプは下の池に導水するためのものと推察されます。
 
天端から
すぐ下にも池があります。
 
総貯水容量12万立米。
 
右岸の斜樋。
 
2247 高田池(1276)
ため池コード
愛媛県今治市菊間町高田
DamMaps
菊間川水系高田川
22.7メートル
87メートル
112千㎥/112千㎥
高田地区
1953年

立岩ダム

2018-04-04 11:57:04 | 愛媛県
2018年3月22日 立岩ダム
 
立岩ダムは愛媛県松山市立岩米之野の立岩川水系大道谷川源流部にある灌漑目的のアースフィルダムです。
旧北条市は愛媛県を代表するみかん生産地ですが、水利に乏しく幾度となく干ばつに悩まされてきました。
特に1967年(昭和42年)の大干ばつは愛媛県全土に甚大な被害をもたらし、これを機に県は各地で灌漑施設の整備を進めます。
旧北条市でも農林省(現農水省)の補助を受けたかんがい排水事業に着手され、その水源として1979年(昭和54年)に竣工したのが立岩ダムです。
完成後は北条市畑地帯総合土地改良区が受託管理し、550haの果樹園地に灌漑・防除用水を供給しています。
愛媛県にはは堤高40メートル以上のアースフィルダムが4基ありますが、立岩ダムもその一つで48.2メートルは全国のアースフィルダムの中で第5位の高さとなります。
 
堤高48.2メートルのダム下から
左岸の洪水吐導流部と右岸の取水設備からの水路がダム下で交差します。
 
堤頂から一直線に伸びる洪水吐導流部は迫力満点。
左手(右岸)には放流設備とポンプ室があります。
 
フィルダムのこういう構図は個人的に大好物です。
 
天端は車両通行可能。
 
天端からは釣島海峡を挟んで中島、さらには岩国方面まで遠望できます。
 
総貯水容量は80万2000立米。
自己流域に加えて二つの支流から導水トンネルで集水しています。
 
上流面はロックフィル。
 
天端から洪水吐導流部を見下ろします。
長い洪水吐導流部。
 
左岸の横越流式洪水吐。
 
アングルを変えて。
 
右岸に管理事務所があり裏手から斜樋が伸びています。
 
2271 立岩ダム(1275)
愛媛県松山市立岩米之野
立岩川水系大道谷川
48.2メートル
175メートル
北条市畑地帯総合土地改良区
1980年

俵原池

2018-04-04 10:55:08 | 愛媛県
2018年3月22日 俵原池
 
俵原池は愛媛県松山市庄の立岩川水系萩原川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地案内板によれば1934年(昭和9年)の西日本大干ばつをきっかけに当時の北條町・正岡村・難波村共同での溜池築造が計画されます。そして1937年(昭和12年)に用水改良工事組合が結成され1942年(昭和17年)に俵原池が完成しました。
その後1995年(平成7年)~2001年(平成13年)にかけて愛媛県の土地改良事業により大規模な改修工事が行われ、管理は俵原池管理組合が行っています。
なおダム便覧の住所は『松山市大字上難波』となっていますがこれは誤りで、池は『松山市庄』にあります。
 
北条市街から県道339号線を北東に向かい、サンセットヒルズカントリークラブの案内板に従って右折、クラブハウス入口をやり過ごして先へ進むと池に到着します。
湖畔には各種記念碑が建てられ、池の由来を知ることができます。
 
記念碑の奥にある石積みの墳墓?
古墳かと思いきや鳥獣慰霊碑でした。
 
天端は車両通行可能。
 
池の下流はゴルフ場
ゴルフコースからだと池を正面から見れそう。
 
総貯水容量は100万立米と溜池としてはかなり大規模。
 
上流面はコンクリートで護岸
右岸に斜樋があります。
 
左岸の横越流式洪水吐
導流壁には石積み?レンガ積み?741風の型枠が施されています。
 
アングルを変えて
前日までの雨で水位が上がり越流しています。
 
トンネル式導流部。
ポータルは扁額付き。
 
左岸上流から。
 
ダム下がゴルフ場になっており下流から堤体を眺めることはできません。
底樋吐口やトンネル式洪水吐の出口も確認したかったのですがダム下へ下りるすべがありませんでした。 
 
2235 俵原池(1274)
ため池コード
愛媛県松山市庄
立岩川水系萩原川
25.5メートル
172メートル
1000千㎥/1000千㎥
俵原池管理組合
1942年

日浦池

2018-04-04 10:09:32 | 愛媛県
2018年3月22日 日浦池
 
日浦池は愛媛県松山市小川谷にある灌漑目的のアースフィルダムで、ダム便覧には1915年(大正4年)に小川谷地区の事業により竣工と記されています。
便覧には位置情報も記載されていましたが、訪問以前はダム便覧フォトアーカイブスへの写真投稿がないため池の実態は不明でした。
今回便覧の位置情報から国土地理院地形図とグーグルの空撮写真を頼りに日浦池とされる池に到達することができました。
松山市街から県道20号を北に進み、小川谷集落で枝道を北に折れます。集落を抜けると離合も困難な隘路が続きようやく日浦池と思しき小さな溜池に到着します。
 
下流から。
池の周りは樹林とミカン畑が続き、日浦池以外にも小さな溜池が多数存在します。
 
ダム便覧やため池データベースでは堤高は16メートルになっていますが、見た目はとても16メートルの高さはありません。
基礎地盤がどこになるか?ですね。
 
左岸の洪水吐
我が家のBMWでは車の転回もやっとのスペース、
 
天端と上流面
池の水は抜かれています。
 
洪水吐導流部。
この下に底樋があります。
 
堤体中央にある階段式の池栓。
水がないので土砂吐まで見えます。
 
右岸から
右が下流で左が池。
 
池は空っぽですが、草の生え具合から灌漑期には貯水されているようです。
 
天端からはわずかに海が見えます。
 
池の詳細について地元の方に伺おうと思いましたが全く人気なし。水利に乏しい地域なのでこんな山の上まで水源を求めていたことは明白です。
 
3663 日浦池(1273)
ため池コード
愛媛県松山市小川谷
DamMaps
粟井川水系
16メートル
21メートル
2千㎥/2千㎥
小川谷地区
1915年

吉藤池

2018-04-04 01:53:07 | 愛媛県
2018年3月22日 吉藤池
 
吉藤池は愛媛県松山市吉藤の久万川水系鴨川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1956年(昭和31年)に土地改良区の事業で竣工と記されており、池の管理は松山市吉藤土地改良区が行っています。
 
ダム下から
基部は谷積みの石の擁壁。
写真には写っていませんが左岸(向かって右手)に洪水吐導流部があります。
堤の両側には桜が植えられていますが、開花にはまだ早かったようです。
 
吉藤池と書かれた扁額付きの樋門。
 
道路は溜池右岸を通りますが、フェンスがあり天端は立ち入り禁止。
竣工記念碑が2基ありますが、さすがにこの距離では読み解くことができません。
これが読めれば池の歴史や由来もわかるのですが。
 
上流面
谷積みの石で護岸されています。
 
左岸の斜樋。
 
同じく左岸の横越流式洪水吐。
 
市街地に近い溜池ということで事故や不法投棄防止のためガードが厳しいのはやむをえません。
でもせめて記念碑の文面が読めればなあ。
 
2248 吉藤池(1272)
ため池コード
愛媛県松山市吉藤
DamMaps
久万川水系鴨川左支流
24.2メートル
100メートル
325千㎥/325千㎥
松山市吉藤土地改良区
1956年