ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

川治ダム

2018-04-25 17:16:00 | 栃木県
2015年10月03日 川治ダム
2016年12月10日
2018年 5月 6日
 
川治ダムは栃木県日光市川治温泉川治の利根川水系鬼怒川上流部にある多目的アーチ式コンクリートダムです。
利根川水系最大支流の鬼怒川は『鬼が怒る』という名が示すように有史以来多数の洪水被害をもたらしその治水は古くからの重要課題となっていました。
鬼怒川流域では1956年(昭和31年)に男鹿川に五十里ダムが、1966年(昭和41年)に鬼怒川源流部に川俣ダムが建設され治水能力は大きく向上しました。
しかし、高度経済成長に伴う首都圏の水需要の急増や、流域の氾濫源だった地域での宅地化が進んだことでさらなる利水・治水治水対策が必要となってきました。
そこで建設省(現国交省)は男鹿川との合流点直上の鬼怒川に新たな多目的ダム建設を決め、1971年(昭和46年)より本体工事に取りかかり1983年(昭和58年)に竣工したのが川治ダムです。
川治ダムは特定多目的ダム法により建設され国交省が直轄管理する特定多目的ダムで、川俣ダム、五十里ダム、湯西川ダムとともに国交省関東地方整備局鬼怒川ダム統合管理事務所により一括管理され、鬼怒川の洪水調節を行うほか、安定した河川流量の維持と既得取水権への補給、農業用水、上水道、工業用水の供給を目的としています。
2005年(平成17年)には五十里ダム湖と川治ダム湖である八汐湖の間で連絡トンネルが開削され両ダム一体運用が可能となりました。
川治ダムは堤高140メートルの放物線アーチダムでアーチダムとしては国内第4位の高さを誇るほか、上部で大きくオーバーハングし国内最大の張り出し長を誇っており、日本を代表するアーチダムとして日本ダム協会による日本100ダムに選定されています。
 
下流からの見学ポイントはありませんが、天端を県道23号が走っており堤頂部の見学ポイントは豊富です。 
堤高140メートルのドーム型アーチで堤頂部の張り出しは最大16メートルにも及びます。
放流設備としては非常用洪水吐としてクレストローラーゲート6門、常用洪水吐としてコンジット高圧ローラーゲート2門とジェットフロートゲートを備えています。
 
2度目の訪問はコンジット試験放流に合わせました。(2016年12月10日)。
 
右岸から、右手は管理事務所(2016年12月10日)。
 
コンジット試験放流(2016年12月10日)。
 
 
 
減勢工
正面にジェットフロートゲート、その下から河川維持放流が行われています。


左岸から上流面
手前は選択取水設備。
 
ダム湖を挟んで上流から。
 
左岸のインクラインと艇庫。(2018年5月6日)
 
2度目の訪問は冬期コンジットゲート試験放流の見学となりました。
土日は天端からの見学のみでしたが、迫力ある放流を見ることができました。
 
追記
川治ダムには最大3600万立米の洪水調節容量が設定されていますが、豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに3376万3000立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
0571 川治ダム(0003)
栃木県日光市川治温泉川治
利根川水系鬼怒川
FNAWI
140メートル
320メートル
83000㎥/76000㎥
国交省関東地方整備局
1983年
◎治水協定が締結されたダム