2018年3月25日 面河ダム
面河ダムは愛媛県上浮穴郡久万高原町笠方の仁淀川水系割石川源流部にある愛媛県公営企業局が受託管理する多目的重力式コンクリートダムです。
愛媛県の道前・道後両平野は大河がないうえに、瀬戸内海気候により年間降水量が1300ミリ程度と少雨であり古くから灌漑用水の確保は困難をきたしていました。
戦後の食糧難から食糧増産が強く求められる中、農林省(現農水省)により仁淀川水系割石川上流にダムを建設し、同ダムより流域変更して道前道後地区に灌漑用水を導水する道前道後平野農業水利事業がまとめられました。
1957年(昭和32年)に国営事業として道前道後平野農業用水、道後平野工業用水、発電の共同事業として事業が着手され、1967年(昭和42年)に中核施設である面河ダムの完成をもって事業は無事竣工しました。
受益地である道前道後地区では水系を超えてもたらさせるこの水を、事業に協力した仁淀川下流の高知県への敬意も含めて『虹の水』と呼んでいます。
面河ダムで貯留された水はトンネル導水路で西条市丹原町の中山川逆調整池に送られ、この過程で愛媛県公営企業局が運営する道前道後第1~第3発電所にて最大出力合計2万5100キロワットの発電を行います。
道前平野へは逆調整池から放流された水が、道後平野及び工業用水は逆調整池の千原取水塔で取水された水が、それぞれの幹線水路にて受益者に供給されます。
面河ダム自体は農林省(現農水省)の事業によって建設されましたが、運用開始後は発電事業者である愛媛県公営企業局が受託管理をしています。
道前道後平野農業水利事業概要図(農水省HPより)
まずはダム下へと向かいますが、国道497号線からダム下へ続く道がが荒れており運転には気を使いました。
クレストにはローラーゲートが1門、昭和30年代着工のダムらしく導流壁は直線状。
ダム下には愛媛県公営企業局が運営する道前道後第一発電所があります。
クレストをズームアップ
ゲート操作室と取水設備建屋が並びます。
続いてダムサイトへ。
ダム手前100メートルほどに関係者以外立ち入り禁止の立て札がありますが四国堰堤ダム巡りのハンコがその先にあるためここは気にせず進入します。
右岸から
ゲート操作室と取水設備。
右岸親柱の『面河堰堤』のプレート。
天端
ゲート部分だけわずかに前面に張り出しています。
導流部と減勢工
左手は愛媛県公営企業局道前道後第一発電所。
総貯水容量2830万立米のダム湖
割石川本流のほか、11の取水堰を通じて支流からもくまなく集水しています。
巨大な取水設備
昭和30年代設計だとこんな大きな設備になっちゃいます。
今ならこの数分の1のスケールでしょうね。
右岸の艇庫、写真の裏側にクラインがあります。
追記
面河ダムは洪水調節容量を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに584万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
2258 面河ダム(1303)
愛媛県上浮穴郡久万高原町笠方
仁淀川水系割石川
AIP
G
73.9メートル
159メートル
28300千㎥/26800千㎥
愛媛県公営企業局
1967年
◎治水協定が締結されたダム