ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

池ノ谷池

2018-04-02 18:49:21 | 愛媛県
2018年3月22日 池ノ谷池
 
池ノ谷池は愛媛県西条市小松町妙口の中山川水系池ノ谷川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には1913年(大正2年)に妙口北川土地改良区の事業で竣工と記されていますが、竣工記念碑や由来碑などがないためそれ以外の詳細は不明です。
戦前に土地改良区は存在しませんので、前身となる耕地整理組合の事業で築造されたのでしょう。
現在池の管理は小松町妙口北川土地改良区が行っています。
 
国道11号の四国コカコーラの工場東側を南に折れ町道を交差すると墓地に到着します。その先はダートのため200メートルほど歩くと池が見えてきます。
池ノ谷というくらいなので竣工年度とされる大正2年以前から池はあったのでしょうね。
 
堤体を斜行する形で天端への道路が続きます。
 
前日までの雨で水位が上昇し、洪水吐から越流しています。
鱗も見えます。
 
堤体中ほどに斜樋があり右岸側は屈曲しています。
 
上流面
草で見辛いですがコンクリートで護岸されています。
 
斜樋の操作室
交換された部品が放置。
 
総貯水容量は10万1000立米。
 
右岸の越流式洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
天端の一番端から
フィルダムでは堤体中央に洪水吐は作らないというのが鉄則です。
洪水吐から手前側は地山に接続しているので堤体ではないということなんでしょう。
 
底樋は確認できませんでした。
隣接する大谷池とは山一つ隔て500メートルも離れていない池ノ谷池ですが、池の規模や周辺整備など彼我の差は大きいものがあります。
土地改良区の規模も違うのでしょう。
 
2224 池ノ谷池(1266)
ため池コード
愛媛県西条市小松町妙口
DamMaps
中山川水系池ノ谷川
16メートル
122メートル
101千㎥/101千㎥
小松町妙口北川土地改良区
1913年

大谷池

2018-04-02 15:12:58 | 愛媛県
2018年3月22日 大谷池
 
大谷池は愛媛県西条市小松町南川の中山川水系大谷川にある灌漑目的のアースフィルダムです。
現地記念碑によれば旧南川村(現西条市小松町南川)は古くから水に乏しく『月夜でも田が焼ける』と言われる程灌漑用水に窮乏していました。
こういった状況を打開すべく1917年(大正6年)に築造されたのが大谷池で、竣工当時は県下最大規模を誇りました。
しかし1946年(昭和21年)の南海地震で損傷をうけ3年の月日をかけて1950年(昭和25年)に修復、さらに平成に入り2000年(平成12年)~2007年(平成19年)にかけて県営防災ダム事業により大規模な改修が行われ現在に至っています。
また2010年(平成22年)にかけて池周辺が小松大谷池農村公園として整備されました。
池の管理は小松町第一土地改良区が行っています。 
 
ダム下に下りる遊歩道が整備されているのでダム下から見学します。
右手が2007年(平成19年)まで使われていた煉瓦製の樋門
左手は新設された取水設備からの底樋。
 
現在の底樋樋門。
 
旧樋門
翼壁を広げ2色の煉瓦で仕上げられ、Cランクの近代土木遺産に選ばれています。
 
小松貯水池の扁額
 
左岸の洪水吐導流部。
 
天端へ戻ります。
右岸には4基の記念碑が並んでおり池の由来がこと細かく記されています。
 
天端からの眺め
ダム下も含めて農村公園として整備され、桜の時期には多くの人出があるようです。
 
天端からは海越しに芸予諸島が望めます
正面は大島、伯方島、生口島あたり。
 
総貯水容量103万2000立米は愛媛県下4番目の規模
貯水池を松山自動車道が跨ぎます。
 
上流面はコンクリートで護岸、右岸に斜樋があります。
 
横越流式洪水吐。
 
スケールは愛媛最大級、環境整備が進められ非常に美しい溜池です。
旧樋門は近代土木遺産、にもかかわらず四国堰堤ダム88箇所堰堤巡りから漏れたのはどうしてでしょうか?
 
2225 大谷池(1265)
ため池コード
愛媛県西条市小松町南川
中山川水系大谷川
27.3メートル
212メートル
1032千㎥/1032千㎥
小松町第一土地改良区
1917年

城ノ谷池

2018-04-02 12:22:57 | 愛媛県
2018年3月22日 城ノ谷池 
 
城ノ谷池は愛媛県西条市氷見丁の中山川水系切川右支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
ダム便覧には土地改良区の事業で1953年(昭和28年)竣工と記されていますが、天端が立ち入り禁止のため竣工記念碑等の確認ができず詳細は不明です。
池の管理は西条市氷見土地改良区が行っています。 
 
堤高は27.4メートルで奇麗に草が刈られています。
手前の水路は洪水吐からのもの。
 
右岸天端わきまで車で上がれます。
 
残念ながら天端から先は立ち入り禁止。
 
対岸に斜樋があり関係者の車の轍が残っています。
 
上流面。
 
右岸の洪水吐。
 
洪水吐導流部。
 
左岸の管理事務所と斜樋。
斜樋の左奥にはかつてゴルフ練習場だった建物が残っています。
 
ダムからは西条市の臨海工業部越しに瀬戸内海が見えます。
位置的に対岸は伯方島や生口島、因島あたりと思われます。
 
2241 城ノ谷池(1264)
ため池コード
愛媛県西条市氷見丁
DamMaps
中山川水系切川右支流
27.4メートル
133メートル
287千㎥/287千㎥
西条市氷見土地改良区
1953年

逆瀬池

2018-04-02 00:41:24 | 香川県
2018年3月21日 逆瀬池
 
逆瀬池は香川県三豊市山本町河内の財田川水系河内川左支流(河川名未確認)にある灌漑目的のアースフィルダムです。
三豊平野の旧辻村(現在の三豊市山本町辻地区)は古来より水利に乏しく中小の溜池が多数つくられたものの集水能力が低く、『田回り畑回り』と稲作と畑作を一年おきに繰り返すありさまでした。
この窮状を打開すべく1942年(昭和17年)に県営事業として河内川上流部で逆瀬池建設事業が着手されましたが戦争で中断、事業開始から14年目の1955年(昭和30年)にようやく竣工しました。
池の管理は三豊郡中部用水土地改良区連合が行い、360ヘクタールの農地に灌漑用水の供給を行っています。
逆瀬池湖畔は『四国の道』に指定されており、春秋には多くのハイカーが訪れるほか、桜の名所としても知られています。
また逆瀬池の洪水吐は全国でも珍しいシャフト式(竪穴落下式)となっており、いわゆる『ダム穴』式洪水吐となっています。
 
池は県道6号ぞいにあります。
下流面は犬走りを挟んで2段構成、基部は谷積石の擁壁。
 
堤体の右岸側(向かって左側)に隧道吐口があります。
これは底樋?それとも洪水吐?
斜樋は左岸から右岸に移築されたので、底樋ならもっと新しいはず。
たぶん、既存の洪水吐導流トンネルに斜樋からの水路も合体させたのでは?と想像。
 
堤体下からの『四国の道』のハイキングコースを歩いて登ると天端左岸に到着します。
 
直近の改修で新設された斜樋。
 
天端は道路が通り車両も通行できます。
 
総貯水容量は53万6000立米。
 
もともと左岸に取水設備がありましたが、湖畔の土砂崩れにより使用不可となり4枚目の写真の斜樋が新設されました。
 
土砂崩れに伴う取水設備刷新工事の竣工記念碑。
 
右岸の横越流式洪水吐
手前の穴がシャフトでいわゆるダム穴式です。
 
アングルを変えて。

2168 逆瀬池(1263)
ため池コード
香川県三豊市山本町河内
財田川水系河内川左支流
22.2メートル
78メートル
536千㎥/536千㎥
三豊郡中部用水土地改良区連合
1955年