2018年3月24日 新宮ダム
新宮ダムは愛媛県四国中央市新宮町馬立の吉野川水系銅山川にある水資源機構が管理する多目的重力式コンクリートダムです。
四国は四国山脈を挟んで多雨地域と少雨地域に分かれ、吉野川流域や太平洋側では洪水被害が頻発する一方、瀬戸内海沿岸では慢性的な水不足に悩まされてきました。
宇摩地域と呼ばれる愛媛県東部、現在の四国中央市も長く水不足に悩み、法皇山脈南側を流れる吉野川水系銅山川の水を導水するいわゆる『銅山川分水』が悲願となっていました。
1953年(昭和28年)の柳瀬ダム完成によりようやく銅山川分水が実現しますが、その後の瀬戸内海臨海工業地帯の発展による水需要増加により新たな水源確保に迫られることになりました。
そこで建設省は柳瀬ダムの下流5キロ地点に新たな多目的ダム建設に着手しますが、吉野川水系水資源開発基本計画(フルプラン)採択により事業は水資源開発公団に移管され、1975年(昭和50年)に竣工したのが新宮ダムです。
新宮ダムは水資源公団法(現水資源機構法)によって建設された多目的ダムで、富郷ダム・柳瀬ダムと連携した銅山川及び吉野川中下流を対象とした洪水調節、四国中央市川之江地区への灌漑用水の供給、新宮工業用水道による四国中央市川之江地区および伊予三島地区への工業用水の供給、新宮工業用水道を利用した愛媛県公営企業局銅山川第三発電所での水力発電を目的としています。
下流から
堤高42メートルとさほど高さはありませんが、4門の赤いラジアルゲートが映えます。
左岸のハウエルバンガーバルブ
低水位放流管です。
国道319号から俯瞰
対岸右手はインクライン。
左岸から。
天端は車両の通行ができます。
それにしても管理事務所はずいぶんと高台にあります。
上流面。
『和』の文字が書かれたモニュメント
銅山川分水については長く下流の徳島県の反対が障害となっていました。
永年の恩讐を乗り越えてダムが竣工したことについて『和』の文字を用いていると勝手に考えます。
ゲート越しの減勢工
解体された予備ゲート。
ダム湖は総貯水容量1300万立米。
特に名前はない。
追記
新宮ダムには500万立米の洪水調節容量が設定されていますが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流によりさらに107万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
2267 新宮ダム(1294)
愛媛県四国中央市新宮町馬立
吉野川水系銅山川
FAIP
G
42メートル
138メートル
13000千㎥/11700千㎥
水資源機構
1975年
◎治水協定が締結されたダム