歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

鶯の美声

2009-04-15 23:44:11 | Weblog
玉を転がすような・・・、というのがぴったりな鳴き声が、この季節になると聴こえる。ここへ住まいを移して4回目の春。
毎年同じ鶯なのかはわからない。
野生の鳥、それも小鳥の寿命は3・4年だと聞くから。

鶯って、梅が咲くころになくと思われてるでしょう?
梅が咲くころ来るのは「目白」。
鶯はその頃、まだ「ヶキョ、キョ・・、キョン!」なんて、似つかない鳴き声をあげている。つまり、練習中。

「ホー、ホケキョ!ケキョ、ケキョ、キョルルルル・・・」と見事に上手になるのは、桜が咲くころ。
なくのは、もちろんオス。縄張りがあるそうで、メスを呼んでいるというわけ。
え?どこに住んでるかって?
街の中ですよ、駅から10分かからないとこ。
自然が残ってるってことなんでしょうね。
しかし、どこに巣を作るのかなあ?
鶯に起こされる優雅な朝。オヤコ代々来てほしいもの。

春が近くなると、毎年、歌の練習をしないといけない鶯のオスもタイヘンだなあ。
もし下手だったら?メスに見捨てられるのかな?(笑)
ある意味、人間と似てるかもね。


午後から歌三昧。
ボイトレは、なかなか優をもらえない。
どうしても音の幅は一定にならないと繰り返し注意を受けている。
注意されると出来るのだが、長年歌っているので、耳が慣れてしまっているといわれる。自分の声を聞く耳を変えなくてはいけないようだ。
つまり、声には同じ音程を出していても幅がある。
その幅の最も高いところを薄く耳で捉えて、自分の声として慣れる訓練をしているわけ。自分に聴こえるのは頭蓋に響く声だから、深く奥まっているとよい声に聴こえてしまうのだ。
つまり、飛ぶ声ではない。

「長く自己流で歌っているものですから、時間がかかると思います。」と、私。
「気は長いので構いませんよ。諦めないで下されば。」と、先生。
まだ4ヶ月なので、すみません。

アンサンブルの伴奏者からは、
「曲によって声を変えているのがわかります。」といわれた。
成果は上がっていると思う。

今日の演奏曲:
モーツアルト、「コジ・フアン・トウッテ」より、6重唱(デスピーナ)
ロッシーニ、「セヴィリアの理髪師」よりロジーナのアリア
ヘンデルの二重唱曲、
ドリーブ、「ラクメ」より二重唱「花の歌」
ヘンデルとラクメは、初見。私が付き合うかどうかはわからない。


声が出るって、ホントにシアワセだと思う!

施設に入居する理由

2009-04-13 23:03:46 | Weblog
私が知るのは有料老人ホームだが、いわゆる介護保険施設入居もそれほどの違いはないだろう。
最も違うといえば、有料老人ホームは「本人の意思で入居」する人たちがあるというところかもしれない。

施設の生活も、自立(生活に人の手を借りなくて行える)している間は不自由なく暮らせる。また、自立の高齢者を対象とする施設もある。
勤務先も混在である。が、1年経つごとに本当の自立で生活できる人はほとんどいなくなる。悲しい現実である。


1、自宅は処分して終の棲家として入居する。
  ・連れ合い・子供のいない人が多い。
  ・女性でも自ら働いてきた人が多い。
  ・何らかの後見人をつけている。(認知症に関わらず)

2、自宅はそのままにして入居してくる。
  ・家族が近くにいる。
  ・同居していたが、本人の身体機能が衰え家族で世話が出来なくなった。
  ・万が一のことを考えて入居場所を確保した。
  ・家族に迷惑をかけたくない。
  *一人で生活していたが支障をきたして急遽施設入居を決めた。
  *認知症のため、すぐ忘れてしまう。
  *活動的で徘徊があった。(近所迷惑だった)
  *世話していた家族がうつ状態になりそうだった。

2-*、これがスタッフ泣かせになる入居者である。

しかし、よくしたもので、AさんとBさんが鉢合わせしたらトラブルになりそう!と気を配ってみていると、本人たちは別々の時間に行動しているのだ。
これは意外な発見かも!
申し合わせなどしなくても本能が危険を察知している?

家族は自宅で24時間365日休日なしである。
私たちは9時間で仕事を終える。
切り替えが出来るから何とか我慢も出来るし給料という見返りもある。
うちの施設は「家族とともにするケア」を行っている。
家族もチームの一員となっていただいている。
毎日、一日おきに来られる家族もある。スタッフが大変だろうというお気持なのだと思うが、頭が下がる思いである。
狭い施設なので、スタッフは常に家族の眼に晒されているからストレスにもなるのだが、慣れてしまうとそれほどではなくなる。ご入居者を介した同志のような錯覚か?若いスタッフのことを可愛がってくださっている。

スタッフが忘れてはならないのは、家族に全てを任せてしまうのを当然とすることだ。ケアはあくまでも私たちの仕事。親しくなると、つい忘れがちなので改めて気付かせるように仕向けている。

春の宵、桜が咲くと・・・

2009-04-08 23:50:46 | Weblog
花ばかり、さくら横丁
会い見るのときはなかろう
その後どう?
しばらくねって、言ったってはじまらないと
花でも見よう    (加藤周一作詞)         

中田義直先生、別宮貞夫先生のお二人が作曲されている。
どちらも名曲で、とても美しい。
この季節、さくらの散るのを見ると、つい口ずさんでしまう。

さくらの咲くころは、人の心も穏やかでなくなる。さくらは怪しく心を動かすのかもしれない。
「買い物に行くんだ!」と出ようとし、スタッフに付いてこられるのを嫌う人がいる。一人で出かけたら?もちろん、迷子になる。バスに乗ろうとする人だから、どこへ行ってしまうかわからない。
うちの施設は、完全施錠はしていないし狭いので、すぐ玄関なのだ。
車椅子の人を花見散歩に連れて行こうとしていたスタッフが、
「一緒にお連れしますか?」と聞いてくれたが、本人に通じない。
「買い物に行くの?」と聞くので「そうみたいよ。」と答える。
「じゃ、いく。」
別行動をする人なので、私も同行する。
足が痛いといいながらも、しばらく歩いて川沿いへ。
満開の桜が、時にはらはらと散る。車椅子の人の髪についた。
真っ白の髪にもよく似合う。
「綺麗だねえ。」
「きてよかった。」
飲み物を飲み、お煎餅を食べて機嫌も治る。足の痛いのも治る。(?)
帰りは、私と二人でゆっくり歩き、焼き芋を買いに寄り道する。
「焼き芋大好き!」だそうだ。

おかげで、思いがけないお花見が出来た。


今日は歌の日!
家事を終えて、声を出す。
セヴィリヤからロジーナのアリア。ランメルモールのルチア。
高音を使う曲に限定して歌う。

14時前からボイトレに出かける。3週間ぶりだ。
声が軽くなってきたということで、全ての母音を同じ響きで歌う訓練をしている。
使っている曲は、ベッリーニ。
私は「エ」の母音が苦手だ。どうも変に意識してしまう。
イタリア語って、こんなに「エ」の母音が出て来るんだ!と、改めて、エーッ!

夜は、アンサンブルサークル。
名前を「ベッラ・ドンナ(美しい女性)」という。
お薬にもなるが毒にもなる、アルカロイドの強い植物だそう。
ベッラ・ドンナだけれど、男性が半分存在する。(毒に馴らされてる?)(笑い)
今年の演奏予定を作成中。
7月は地元の合唱祭に出演。定例である。
2月の永山は、10月か12月になるかも。
3月は、永山でお誘いを受けたホールでのコンサートを企画したい。
ピアニストの予定があるので、なかなかこれがタイヘンなんです。

アンサンブルは「コジ・フアン・トオッテ」18番。6重唱。
私は、ホールコンサートをするなら、サロンでは歌えない曲を選曲している。
橋本邦彦作品集から、「黴」「舞」の2曲。どちらかになるだろう。
伴奏ピアノが素晴らしいので、早めに楽譜を渡したのだ。
重唱曲は、これから選んでいくのだが・・・、何がよいか?


今年は自分に投資している。
お仕事関係で学ぶこと、参加すること。フットワークを軽くしないと追いついていかなくなるかもしれない。

施設でもお花見シーズン

2009-04-04 21:27:08 | Weblog
昨夜、何とかまとめていた書込が上手く投稿できなくて、【嘆】
あ~あ、二度は書けないよお!

2日にバスを借りて、入居者の半数がお花見に出かけた。
もちろんスタッフも出払ってしまう。
外では、殆ど1:1の介助が必要になる。何より危険だから。
看護師も、もちろん付いていく。

私は、留守番。の、はずが、病院付き添いとなった。
家族とは病院で待ちあわせる。
初診だったので、いつもよりは待つ・・・。
と、ご本人の息ざしが変わり・・・、止まった!
脈は?・・・、触れない!
   ≪すいませ~ン!急変で~す!≫
処置室からICUへ。

施設へ電話しようとしたら、携帯が、繋がるけど声が伝わらない。
ま~ったく!公衆電話、幸い病院にはある。

その後、意識が戻って一命は助かりましたが、家族は涙で慌てふためき。
入院と決まってから、雑談が出来るくらい落ち着いてくれたので、後は任せて施設に戻る。
高齢になると、循環不全と言うことで、こんな事もある。
ほんとに、ずっと手を握っていながら顔を見ていてよかった!
姿勢も崩れなかったので、殆ど気付かなかったかもしれない。


昨日も今日も、お花見日和。
出かけられなかった入居者も散歩に出かける。
昨年は入院していた方も、今年の花は観られて「きれいだ、きれいだ。」と大喜びだったという。
私は通りすがりで十分楽しんでいる。


私の携帯?
電源が落ちてしまって重体に・・・、入院させなきゃいけないだろ~なあ。