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イラン“もったいない精神”「思いやりの壁」で支援

2016-01-25 07:30:00 | 報道/ニュース

1月14日 キャッチ!


イランは核開発問題で国際的に孤立を深めていたが
去年 欧米などと問題解決に向けた最終合意に達した。
しかし経済制裁はまだ解除されておらず
国民生活は依然として厳しく路上生活を強いられる人も数多くいる。
こうした人たちを支援しようとイランではある取り組みが行われている。
思いやりの壁。

標高1,200m以上の高地に広がるイランの首都テヘラン。
人口820万人の大都市はいま本格的な冬を迎えている。
気温が0度以下に下がるなど一段と冷え込みが厳しくなっている。
こうしたなか「思いやりの壁」という取り組みが街のあちこちで始まっている。
イラン各地の街角で数多く見られるようになったこの壁。
仕組みはとてもシンプルである。
古着の冬服などを困っている人に寄付するため
服を掛けるフックを通りに面した壁に取りつければ準備完了。
そして服を必要とする人が持ち帰る。
いつでも
どれだけでも
決まりごとは無い。
(利用者)
「服を買う余裕がない人のささやかな望みをかなえてくれます。
 これは娘の分です。」
「利用は2回目です。
 助かります。」
欧米などの経済制裁でイラン国民の生活は厳しいままである。
失業率は去年10%台に達した。
また慢性的なインフレで食料品・燃料そして家賃も値上がりが続いていて
路上生活を強いられる人が数多くいる。
思いやりの壁を
誰がいったいどんな気持ちで始めたのか。
イスラム教シーア派の重要な聖地 マシュハド。
この街の閑静な住宅街の一角に最初の思いやりの壁はあった。
神がするように
善行をしましょう
貧しい人たちに敬意をもって
この家の住人 メフランさん(仮名)(31)。
モスクの運営団体で働いている。
取り組み自体は広く知ってもらいたいが
自分だけが目立つことはしたくないと言う。
自宅には友人などが持ち込んだ古着や靴が保管されていた。
この中から1日に3,4着を選んで壁に掛けている。
(メフランさん(仮名))
「1年を通していつもハンガーに掛かっているようにしています。」
メフランさんがフックを設置したのは本格的な冬が始まる前の去年10月。
ある外国の取り組みをインターネットで知ったことがきっかけだった。
イランにはもともと不特定多数の人同士が直接古着をやり取りする習慣は無い。
しかしメフランさんがインターネットにつぶやいたら
「思いやりをシェアしたい」というメッセージが壁の住所とともにまたたく間に広がり
数時間後には人々が服を壁に掛け始めたという。
(メフランさん(仮名))
「手軽に古着を役立てる方法です。
 続けることが大切です。」
想像を超える大きな反響から約3か月
取り組みはこの界隈に住む人の生活の一部になりつつある。
(住民)
「最初は服を求める人のたまり場になるかと心配しましたが
 大丈夫でした。」
誰でも手軽に始められる思いやりの壁。
シンプルな仕組みと大きなニーズに支えられてイラン各地に広がっている。
クリーニング店から持ち出した衣類。
実は市民から寄せられた古着である。
次々と古着を壁に掛けていくのはテヘラン市内で活動するNGOの学生たちである。
こうした取り組みは経済的弱者への支援だけでなく
社会全体の利益につながると見ている。
彼らが目指すのは資源を再利用する循環型社会。
(NGO代表 アリドゥスティさん)
「不要な服を捨てる前に再利用の可能性を考えるような社会に変えたいです。」
またこの考えに賛同する利用者からは
さらに人々に浸透させるためのアイデアも寄せられている。
(利用者)
「服を持ち帰るときに恥ずかしくないよう目隠しを立ててほしいな。」
NGOはいわばイラン版の“もったいない精神”の普及に向けて
この2か月で3つの壁を設置し
今後新たに2か所増やす計画である。
去年 イランで始まった思いやりの輪は
多くの人々の共感とともにさらに広がりを見せている。




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