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“トモダチ作戦”の舞台裏

2021-03-31 07:04:23 | 報道/ニュース

2021年3月9日 NHKBS1「国際報道2021」


10年前の東日本大震災では発生直後からアメリカ軍の兵士たちが大規模な支援を展開した。
“トモダチ作戦”と名付けられ
2万人以上の兵士が約1か月半にわたって活動し
アメリカ軍による災害支援としては過去最大規模となった。
10年を経た今
その作戦の舞台裏が関係者らによって明かされた。

日本に拠点を置くアメリカ海軍第七艦隊に所属していたデイビス元大佐。
地震発生当時 乗っていた艦船はシンガポールに寄港中で兵士はすでに下船していたが
津波のニュースを受けてすぐに動き出したという。
(デイビス元大佐)
「津波のニュースを見た兵士が呼び出しを受けることなく
 すぐに船に戻ってきたのです。」
“トモダチ作戦で”アメリカ軍は物資の輸送やがれきの撤去など多岐にわたる活動を行なった。
象徴的だったのが津波で冠水した仙台空港の復旧である。
海兵隊の部隊が自衛隊とともに活動し
5日間で輸送機が着陸できるようになった。
急ピッチで作戦が進む中
アメリカ政府は福島第一原発の事故への対応で判断を迫られていた。
政府中枢の会議で
東京在住のアメリカ人9万人を非難させるべきか
議論が行われていたのである。
その場に参加していた元外交官 メアさん。
外交官として日本で通算19年間を過ごした日本通である。
会議では“自国民の安全と日米同盟が天秤に“かけられたと証言した。
(元外交官 メアさん)
「本当に米軍が危険であれば私も賛成しますよ。
 “非難すべき“だと。
 結果として必要ではなかった状態の中で
 米軍が避難したら大変だ。
 信頼を失い日米同盟の基盤が崩れてしまう。」
その後 放射性物質による影響は問題ないことが確認され避難は見送られた。
日米同盟が試されたともいわれる東日本大震災。
ワシントン近郊の国防総省には
両国のきずなを示す象徴として“トモダチ作戦“のパネルが飾られている。
“トモダチ作戦”を指揮したウォルシュ元司令官。
作戦によって日米同盟の強固さが示され
それが地域の他の国々にも影響を与えたと指摘する。
(“トモダチ作戦”を指揮 ウォルシュ元司令官)
「東日本大震災で日米同盟は試され
 私たちは一致団結して結果を出して見せた。
 第二次世界大戦による日米関係を引きずっていると考えている国々は
 日本がアメリカにとっていかに重要な位置を占めているかを理解しただろう。」

作戦にあたったアメリカ兵の多くは日本に駐留していたことから
東日本大震災が外国で起きた災害ではなく
自分や家族が住む国で起きた災害と受け止めて
支援にも力が入ったと話している。
一方 作戦をめぐっては
福島県沖を通過した空母の乗組員などが
その後 放射線による健康被害を訴えて訴訟を起こしている。
作戦に参加したことによって健康を害し
その後の人生に影響を与えたと考えている兵士も中にはいる。
バイデン政権は
駐留経費の日本側の負担 思いやり予算をめぐる日米の交渉で
暫定的ながら
早いタイミングで日本側と合意した。
増額を求めていたトランプ政権と違いを見せた形である。
一方でバイデン政権は中国を最大の競合国として
同盟国などと連携して中国に向き合う姿勢を鮮明にしている。
このため日米同盟のもと日本に様々な負担を求めてくることも考えられる。
さらに在日アメリカ軍をめぐっては
基地問題や兵士らが起こす事件もたびたび起きている。
“トモダチ作戦”では日米同盟の意義がいかんなく発揮された形だが
メリットと裏表の関係にある負担の部分にも目を向けていく必要がある。


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