11月21日 NHK「おはよう日本」
トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争で
アメリカのバーボンの輸出が落ち込んでいる。
EUなどの対抗措置として関税を上乗せしているからである。
そうした中で老舗メーカーが救いを求めたのは意外な相手だった。
アメリカ南部ケンタッキー州にある蒸留所。
アメリカ独立の4年後である1780年創業の老舗として知られている。
社員わずか7名の小規模な蒸留所でありながら
世界的なウイスキーブームに乗って
数年前からヨーロッパや日本などに向けてバーボンの輸出を拡大。
今では売上の約10%を輸出が占めている。
(蒸留所オーナー アミル・ピーさん)
「ヨーロッパに自社倉庫を作りました。
そしてアメリカにないヨーロッパ向けの700mlボトルを新たに作ったのです。」
しかしアメリカがEUの鉄鋼製品などに高い関税をかけたことへの対抗措置として
去年6月
EUがアメリカ製品に関税を上乗せ。
バーボンには25%の関税が追加され
蒸留所も大きな痛手を受けた。
(蒸留所オーナー アミル・ピーさん)
「自分たちが始めた貿易戦争でもなく
違う業界で起きていることに巻き込まれている。
鉄やアルミの業界で何かが起きているのなら
その業界内で何とかすべきだ。
私たちを巻き込まないでほしい。」
逆境を跳ね返すためにこの蒸留所が考え出したのは
バーボンの歴史を武器にする戦略。
「1780年に創業したケンタッキー州で最古の蒸留所だ。」
バーボンツアーを企画して
創業239年の蒸留所の敷地をメディアや一般客に公開し
魅力をアピールすることにしたのである。
実はこの蒸留所のバーボンには強力なファンがついている。
第18代アメリカ大統領のユリシーズ・グラントに
第7代アメリカ大統領のアンドリュー・ジャクソン。
清らかな水で作られた口あたりまろやかなバーボンは
歴代のアメリカ大統領に愛されている。
アメリカを築いてきた大統領のお気に入りのバーボンの歴史をアピールすることで
値段が高くても買ってもらえるブランドにしようと考えている。
ツアーの評判は上々。
海外メディアにも取り上げられるなど
着実に収益につながり始めている。
(蒸留所オーナー アミル・ピーさん)
「ツアーは急成長していて
良いビジネスになっている。
我々の愛すべき商品を利用して
アメリカのウイスキーを再び世界に紹介したい。」
好んで飲んでくれた歴代の大統領に救いを求める伝統のバーボン。
歴史を武器に勢いを盛り返そうとしている。