日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

雪に例えた状況証拠

2012-04-21 17:24:58 | 編集手帳


  4月15日付 読売新聞編集手帳


  この100日間の裁判員たちの重圧を思う。
  年明け早々に選任手続きがあり、
  計36回の公判。
  結審後もひと月にわたって評議を続けてきた。
  選択した結論は死刑だった。

  首都圏の男性3人連続不審死事件の裁判は、
  木嶋佳苗被告(37)と殺害行為を結びつける直接的な証拠がない。
  検察は3事件に共通する状況証拠を積み重ねて
  「犯人は被告以外に考えられない」
  との主張を展開した。

  状況証拠については2年前、
  最高裁が
  「被告が犯人でなければ説明できないものがなければならない」
  と厳しい条件を示している。
  初動捜査で警察が、
  男性1人を自殺と見誤り司法解剖しなかった、
  などの失態も明らかになった。
  証拠の細部まで吟味し尽くした評議だったろう。

  裁判員の苦悩に敬意を表しつつ、
  検察の論告には疑問を呈しておく。
  <夜晴れていて朝雪化粧なら、
   雪が夜中に降ったのは明らか>。
  状況証拠だけでも有罪にできると、
  雪に例えて言いたかったのだろうが、
  想像力で殺人を認定するわけにはいくまい。

  「雪冤(せつえん)」という言葉が浮かぶ。
  自らの無実を晴らす、
  の意味。
  冤罪を生まぬことが刑事裁判の鉄則である。





コメント    この記事についてブログを書く
« 荒天続きの日本の空 | トップ | 東京スカイツリー 展望台建... »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

編集手帳」カテゴリの最新記事