7月8日 おはよう日本
岐阜各務野高校野球部。
春の県大会で3位に入るなど
ここ数年で急速に力をつけ
甲子園を目指す夏の県大会は優勝候補の一角である。
その強さの秘密は
先輩と後輩の上下関係がないというユニークなチーム作りである。
上下関係のないチームを支えてきたのは
三兄弟である。
「長男の湧大です。」
「次男の暁です。」
「三男の朝陽です。」
といっても本当の兄弟ではなく
3年生を長男
2年生を次男
1年生を3男と呼ぶことで“家族のようなチーム”という意識を選手間に浸透させてきた。
昼休みはミーティングも兼ねて野球部のみんなでお弁当。
下級生でも敬語は使わない。
「楽しいです。
友達です。」
(3年生)
「3男から来てもらえるんで話しやすい。」
4年前から導入したこのスタイルが評判を呼び
ここ2年は3分の2以上の部員が入部の決め手にあげた。
(1年生)
「ほかのチームだと多分
1年生だけで話して3年生について行って終わるという感じですけど
先輩が日常生活でも気軽に話かけてくれて
前に出やすい。」
独特の制度を導入した江崎大輔監督。
自分が球児だった頃の真逆を目指して
このやり方を始めた。
(岐阜各務野高校 江崎大輔監督)
「しかられないように先輩より目立たないように毎日を過ごすのが精いっぱい。
その中で本当に野球が上手になるのかなと思ったら
自分はそうではなかった。
自分の体験の逆をやれば
のびのびと前向きな気持ちで練習に取り組んでくれるのではないか。」
するとグラウンドでの結果も伴い始める。
夏の岐阜大会は2年連続ベスト8.
この春は県3位に入り夏は優勝候補の一角である。
上下関係がないとなぜ強くなれたのか。
理由は選手たちの自主性だった。
この日は実戦形式の練習。
そこで走塁ミスが出てしまう。
すかさずチームを一喝したのは2年生だった。
(2年生)
「今のプレーで誰もストップをかけられないのか。
集中してもとやれよ全員。」
一方こちらの場面
(2年生)
「ピッチャー代わったときに俺に先頭で代打行かせてくれ。」
声をあげたのはレギュラーではない2年生。
大会メンバー入りしようと猛烈アピール。
誰にチャンスを与えるかも選手間で決めている。
つかんだ打席で見事にヒット!
結果が出るとみんなで喜ぶ。
上下関係がないからこそ
部員57人それぞれが
自分がチームを強くするとチーム力を高めてきた。
(岐阜各務野高校3年 加藤湧大主将)
「次男三男が前面に出てきてくれる。
どの立場でも勝たせたいという思いがある。
上下関係のないことや
選手主体が勝ちにつながってきている。」
この日は夏の初戦をイメージした練習試合。
岐阜各務野は監督とともに選手もサインを出す。
この試合は2年生の杉山暁選手が担当した。
0対0の6回裏。
3番の3年生大滝選手が出塁する。
初球のサインはヒットエンドラン。
しかし大滝選手は首を振りサインを取り消す。
(3年 大滝竜弥選手)
「そこは自分が行けないと思って。」
(2年 杉山暁選手)
「そこはもう任せたた。」
そして4球目に盗塁成功。
チャンスが広がって5番新井選手。
左中間へのタイムリー。
選手たちの判断・決断が先制点につながり
試合を制した。
(2年 杉山暁選手)
「選手が言っていることの方が成功したりするので
バンバン監督に意見を言って
涼しい顔でサインを出せるように練習します。」
従来のチーム作りに一石を投じる岐阜各務野高校。
独自のやり方を貫き
甲子園を目指す。
(岐阜各務野高校 加藤湧大主将)
「夏も苦しい試合になると思うんですけど
上下関係がないチームはどこにもないので
自分たちの持ち味を最大限発揮して
選手主体を貫いてやっていきたいです。」
先輩と後輩の上下関係はないが
授業中の態度を先生に注意されたら練習に出られないなど
野球部独自のルールを作っていて
野球が上手いだけではダメという意識が部員間に浸透している。