12月15日 おはよう日本
日ロの懸け橋になればと
4年前に秋田県からプーチン大統領に贈られたのが
秋田犬である。
「忠犬ハチ公」でも知られる秋田犬は海外での人気が急上昇していて
観光振興につなげようという動きが加速しているが
一方で国内での飼育数は減り続けている。
主人に忠実な日本犬 秋田犬。
秋田犬のふるさと秋田県大館市で
毎年開催されている秋田犬の全国大会にも外国人観光客の姿が目立つ。
犬の人気は日本の観光振興につながると期待されている。
ところがこの秋田犬の国内の飼育数は大きく減っている。
原産地の秋田県でも
(大館市民)
「秋田犬を見ないですね。」
「柴犬だとか小さい犬を飼っている人はいるけど
秋田犬を飼っている人はいないな。」
大館市に本部がある秋田犬保存会によると
ピーク時の約40年前
秋田犬の子どもは年間40,000頭以上生まれていたが
ここ数年は2,000頭前後。
20分の1にまで減少した。
大館市内で飼育されている秋田犬は30頭ほどにまで減っている。
長年にわたって進んで核家族化に加え
近年 加速する人口減少がその背景である。
(秋田犬保存会 富樫安民副会長)
「若い人たちがどんどん都会に出てって
おじいちゃんおばあちゃんだけの世帯になって
一緒に犬を飼う家族構成が崩れたことも大きな原因。」
大館市では秋田犬を飼うのをやめる高齢者も相次いでいる。
かつて秋田犬を飼っていた81歳の男性は
今は柴犬を飼っている。
「秋田犬はあまり力が強いので小さい犬にしました。」
秋田犬は
国の天然記念物に指定されている6種類の日本犬の中で
唯一の大型犬。
特に力が強く
飼育は簡単ではない。
それでも秋田犬を飼い続けている高齢者もいる。
鎌田正三郎さん(82)。
秋田犬にとって毎日の散歩は欠かせない。
雪の日も朝と夕方の1日2回散歩に連れていく。
本来1回に30分~1時間程度の散歩が必要である。
しかし82歳の鎌田さんにとって毎日長い時間の散歩はむずかしく
いまでは1回に15分程度しかできないという。
「やっぱり年いけば大変になるんだよ。
1人だから容易ではないんだよ。
何やるにしても。」
さらに頭を悩ませているのが自らの年齢である。
妻に先立たれ一人暮らし。
近くに娘が住んでいるが集合住宅のため犬を飼うことはできない。
この秋田犬の面倒を最後まで見きれるのか心配している。
(鎌田正三郎さん)
「人間はどれくらい生きるか知らないけれど
おらも82歳になるから
もうなんぼも生きられないんじゃないかな。」
秋田犬保存会によると大館市の会員の半分以上は高齢者だという。
(秋田犬保存会 富樫安民副会長)
「5年後10年後には
いま飼っている人たちの半分以上はもう飼えなくなっている。
海外ブームと裏腹に
大館市としては深刻な問題。」
大館市も今後対策に乗り出す方針である。
全国の人にエサ代などを負担してもらい
地元の秋田犬保存会などが飼育するオーナー制度などを作ることを検討している。
(大館市観光課 工藤剛課長)
「秋田犬を大館市内に増やす仕組みを考えている。
大館市に来たら秋田犬を見られる状況を作り出したい。」
人気の高まりの一方で進む秋田犬の減少。
秋田犬の故郷も大きな課題に直面している。