12月13日 国際報道2016
中国の若者たちが続々と日本の大学を目指す姿を
“爆留学”という言葉で表す。
特にトップレベルの大学でそうした動きが活発だという。
東京大学でも7年前から中国人留学生が倍増していて
留学生全体に占める割合も約30%から45%に増えている。
中国の若者はなぜ日本を目指すのか。
東京 高田馬場にある予備校。
勉強しているのはすべて中国から来た若者たちである。
日本のトップレベルの大学に入ることを目指し来日している。
講師も国立大学に通う現役の中国人留学生である。
この予備校から去年 東京大学に合格した中国人は10人。
他にも京都大学や早稲田 慶応など
有名大学への合格者が次々と出ている。
この予備校に通い
今年早稲田大学に合格した朱一麦さん(18)。
幼少時から日本のマンガに親しんできた朱さん。
日本の文学を本格的に学びたいと来日した。
(朱一麦さん)
「日本の小説の翻訳者になりたいです。
村上春樹さんの小説を読んでいて。」
7年前 この予備校を起ち上げた豊原明さん(35)。
実は豊原さんは中国福建省の出身。
東京工業大学に進学し研究者を志していたが
中国の若者たちの思いに応えようと予備校を設立した。
(中国人向け予備校 豊原明社長)
「生徒は今は関東と関西を含めて1,900人くらいいるのが現状ですね。
日本人のノーベル賞が最近たくさん出ている。
それも中国人にとっては魅力的だと思う。
距離的には日本は近くて
欧米に比べると経済的でもあるので。」
さらに人口の多い中国では激しい競争にさらされるのも理由の1つである。
この予備校に通う高麗さん(18)。
今年4月に来日した。
(高麗さん)
「経済を勉強したかったので
日本で一橋大学に入りたいと思いました。」
日本に来て8か月。。
1日のほとんどの時間を受験勉強に費やしている。
じつは去年 中国で大学受験を経験した。
中国で日本のセンター試験にあたるのが全国大学統一入試。
今年は中国全土で940万人以上が受験。
センター試験の受験者の約18倍である。
日本と違うのは試験は1度しかないこと。
この試験の点数によって大学に振り分けられる仕組みである。
さらに住んでいる地域ごとに各大学の合格者の人数が決められているため
中国で志望校に進学するのは至難の業といえる。
希望の大学に点数がとどかなかった高さん。
日本の教育環境を高く評価していた両親の勧めもあり来日した。
(高麗さん)
「日本の大学入試だといろいろな面でその人の能力を判断します。
面接・小論文など。
中国よりも公平だと思います。
卒業後は日本の会社に就職し
国際貿易関係の仕事に就きたいです。」
こうした中国の若者たちに日本の大学側も期待を寄せている。
国内で最も多くの留学生を受け入れている早稲田大学。
約5,000人の留学生のうち半数が中国出身。
7年後までには
中国に限らず優秀な海外の学生を
今の2倍の1万人に増やす考えである。
(早稲田大学 森田典正理事)
「大学の1つの大学が国内だけで活動しているということでは
済まない時代になっている。
日本の大学の中に本当の意味でグローバルな環境を作りたい。」
優秀な学生を確保したい日本の大学。
将来の可能性を少しでも広げたい中国の若者たち。
こうした動きはさらに広がっていきそうである。