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新年の季語 初竈(はつかまど)

2021-01-27 07:16:42 | 編集手帳

2021年1月3日 読売新聞「編集手帳」


 新年の季語に「竈(はつかまど)」がある。
かつては竈の神、
荒神様に1年の無事を祈って火を入れたものらしい。
あるいは「炭(かざりずみ)」。
例句は少ないが、
門松に炭を飾ること。
一説に邪を避けるためだとか。

竈・門・炭…お気づきの方もあろう。
映画作品も大ヒットし、 
話題の漫画『鬼滅』(作・吾峠呼世晴)を遅まきながら、
読み始めたところだ。
鬼たちと闘う主人公の名は竈門(かまど)炭治郎。

舞台は大正期、
炭治郎は炭売りの少年だ。
その幼い頃の回想には、
年の初め、
ヒノカミ様に奉納する神楽が出てくる。
ほかにも民俗学の本を(ひもと)きたくなる設定が目立つが、
時は流れ、
木炭で冬を越すことはなくなった。

正月の景物も変わった。
初竈や飾炭は縁遠くなっていよう。
ただ、
例えば餅はどうか。
家庭用の餅つき機「もちっ子」の登場は半世紀前に遡る。
店で買うことも増えた。
それでも餅は食べる。
新しい年を迎える心は、
形を変えつつ、
今も生きている。

心から除災を願いたい年明けでもある。
ちなみに、
不運にも鬼になってしまう炭治郎の妹は禰豆子(ねずこ)
名前に鬼を払う豆の字が入っている。
節分までに読み進めるとするか。



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