11月12日 おはよう日本
お遍路さんが身にまとう白衣を着た女性。
アメリカから徳島県にやってきた オリビア・キベルさん(24)である。
去年ハーバード大学を卒業したオリビアさん。
四国遍路の文化を学びたいと
大学の奨学金を得てやってきた。
きっかけは3年前の夏休み。
スペインの巡礼道を尋ねたことである。
旅の途中で会った巡礼者から
遠く離れた日本にある“もうひとつの巡礼道”について聞いた。
そこでは巡礼者をあたたかくもてなす文化“お接待”が根づいているというのである。
(オリビア・キベルさん)
「私がとても興味をひかれるのは
他人に対する寛容な行為を通して人々がつながり合うとはどんなことなのか。
このことは特に四国遍路にあてはまると思います。」
念願かなって日本を訪れたオリビアさん。
一番札所 鳴門市の霊山寺の近くにあるお遍路さんの宿でボランティアを始めることにした。
オリビアさんがお遍路について学ぶ先生は
宿の管理人 76歳の高原道隆さんである。
高原さんは20年以上かけて100回以上四国遍路をめぐったお遍路の達人。
何気ない朝食もオリビアさんにとって学びの機会である。
実はこの朝食
“お接待”として無料でふるまわれているのである。
宿の朝食から
お遍路さんをもてなすあたたかい心を学んだ。
オリビアさんは“お接待”の文化が地域に深く根ざしていることにも気づいた。
この日 授業の一環として四国遍路を学びにやって来た地元の中学生の輪に加わった。
中学生と一緒に
お茶などをふるまう“お接待”に取り組む。
1時間以上たちっぱなしでお接待を続けていると中学生がお茶をふるまってくれた。
オリビアさんは“お接待”の文化が教育の場でも若い世代に伝えられていることに驚いた。
“お接待”の心を少しずつ学んできたオリビアさん。
積極的に“お接待”にも挑戦する。
この日オリビアさんが声をかけたのはフランスとスイスから来たという二人組。
四国遍路は初めての経験だという。
初めて訪れたふたりも無事に参拝することができた。
「彼女たちはとても親切。
会えてとてもよかった。」
(オリビア・キベルさん)
「ここに来られて本当に幸運だと思っています。
すでにたくさんのことを学びましたし
ここの人々や精神に対して
今まで以上に感謝しています。
どうもありがとう。」
四国で暮らす人々が育んできた“お接待”の文化。
このあたたかな文化に共感する人が世界にも少しずつ広がろうとしている。