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家路につく刻限

2011-12-22 18:50:07 | 編集手帳



  12月20日付 読売新聞編集手帳


  薄暗い夕暮れどき、
  行き会う人の見分けがつかない。
  あれは、さて、誰だろう?
  誰(た)そ、彼は――
  「たそがれ」の語源といわれる。

  民を飢えさせ、
  国際社会から孤立したたそがれの金王朝は「誰そ彼」の人に引き継がれる。
  北朝鮮の国営メディアは
  最高指導者の金正日(キムジョンイル)・朝鮮労働党総書記(69)が死去し、
  三男・正恩(ジョンウン)氏(28)の統治に移行すると伝えた。
  正恩氏なる人物の、  
  人となりも、
  信条も、
  いまだに謎である。

  嘘(うそ)八百とは言わないが、
  「軍事、語学、コンピューターの天才」
  といった嘘七百九十九ほどの官製宣伝が聞こえてくるのみで、
  何ひとつとしてつまびらかでない。

  薄暮の時刻を別名「逢魔(おおま)が時」という。
  権力基盤が脆弱(ぜいじゃく)なときは、
  お粗末な内政から国民の目をそらすべく、
  外国相手の危険な挑発行為に走る懸念もぬぐえない。
  総身を神経にして不測の“魔”に備えつつ、
  「拉致」と「核」の糸口をもとめて、
  対話4分、
  圧力6分で巧妙に、
  効果的に、
  揺さぶりをかけていく。
  野田外交の腕前が試されよう。
  
  夕暮れどきは本来、
  家路につく刻限である。  
  横田めぐみさんをはじめとする、
  すべての拉致被害者の。

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