ロラン・バルトという人は現代文学を学んだことがある人なら知っていると思う。
知らなくても全然構わないのだが。
文学というものは、作家の意図を分析していくものではなく、書かれたものを読み解くことが大切だというようなことを唱えた人だ。
それをテクストという。
テクストとは編み物のことをいい、縦糸と横糸が折りたたまれていくことによって一つの布を構築していく。
それと同じように、文章も、過去の作品をから . . . 本文を読む
人生を賭けて仕事をするのは当たり前だ。
それは今までもそうだったはずだ。
どういう時代に生きる人々も、仕事を完遂しなければ飢え死にしていたはずなのだから。
けれども私たちが過労になるのはその逼迫感とは少し違う。
どう違うのだろうか。
外部からの圧力だけではなく、諦めることを許してくれない圧力がある。
それは自身の内部から起こるものだ。
だから手を抜けない。
手を抜くことを許さない倫理観が私たち . . . 本文を読む
主体的な人間でなければ、これからは生きていけない。
自ら発見し、解決する能力を身につけていることが、AIに負けない、人間らしい人間であることが最低条件のようだ。
そうでなければ、生きるための仕事に就くことができない。
だが、私たちは、ますますその人間性を剥奪されるように仕向けられているようにもおもう。
スマホで便利さを与えられ、ゲームであそばされている。
最も主体性が伴うはずの遊びが、誰かに企画 . . . 本文を読む
評価点:78点/2017年/アメリカ/123分
監督:ギレルモ・デル・トロ
奇跡を信じないのなら、この映画は何の意味ももたないだろう。
冷戦最中、アメリカはロシアを出し抜くために宇宙開発にいそしんでいた。
その開発局の掃除夫イライザ(サリー・ホーキンス)は話ができない女性だった。
あるとき、新しい研究対象として大きな水槽に入れられた生き物が運ばれてきた。
その生き物が来て以来、研究所では流血 . . . 本文を読む
スマホによって世界を分節し、把握しようとしている。
ゆくゆくは、リアルな接触がなくなり、みなスマホばかりをみて世界を傍観することができるようになるかもしれない。
人は出歩かない。
歩くのはドローンだ。
自分と同じ目線で、リアル世界を体験し、そしてそれを私たちに直接的に、リアルタイムに情報として伝達する。
その現実を、私たちは現実として受けとめ、生きていく。
娯楽でも、仕事でも、出歩く必要はなくな . . . 本文を読む