思想や哲学に興味がある人にとっては、もはやすでにちょっと古いかもしれないが、4月に刊行された本書は、すぐに購入して積ん読状態だった。
この夏、映画館にいくこともままならなかったので、本を読んでいた。
そして、そろそろこの本も手に取ろうと思って読み始めた。
さて、著者いわく、この本は「勉強の哲学」「現代思想入門」に続く入門書の三つめにあたる。
「センスが良い」といわれる「センス」とはなにか、を思索 . . . 本文を読む
言わずと知れた、東浩紀を論壇の舞台にあげた新書である。
当時としては、オタクやギャルたちを論じている者は少なかった。
オウム真理教やバルブ崩壊など大きな事件や出来事が続く中で、ゲームやアニメ、マンガといったサブカルチャーに没頭する者たちを、俎上に載せるということ自体が「価値がない」とみる考えが支配的だった。
しかし、いち早く彼らに注目したのが、大塚英志であり、東浩紀だった。
書かれた当時は懐疑的 . . . 本文を読む
ゲンロンを立ち上げた東浩紀の新作の新書。
本屋に平積みされていたこともあり、気になっていたので、買った。
彼の本を実はあまり読んでいなくて、奥さんに薦められた記憶はあるが、結局読んでいないような気がする。
語った内容を記録するという形式だったこともあり、かなりライトな語り口だが、話は非常に興味深い。
特にネットにばかり侵食されがちな若い世代に読んでもらいたい。
まあ、薦める相手もいないけれど。
. . . 本文を読む
研究者で、小説家という千葉雅也のデビュー作「デッドライン」を読んだ。
多分に彼の過去を反映していると思われる私小説風の作品。
大学院時代に、フランス思想を研究する中、修士論文の締め切り(=デッドライン)に追われる学生を描いている。
と同時に、同性愛を自認した語り手が、周りにカムアウトしながら、自分の性欲を満たしていくという日々も描かれている。
読んだ後しばらく考えていたが、ネタバレするほどの深 . . . 本文を読む
最近の新書コーナーで平積みされている話題作。
出た当初から気になっていたが、ちょっと他の作品を読んでいたので乗り遅れた感がある。
今井むつみの著作はいくつか読んでいて、学生時代からの付き合いである。
今回は、タイトルが非常に重く、言語の起源について探ろうという意欲作である。
ただ、手法としてはこれまで通り、未就学児を中心とする子どもたちの発達段階をみつめることを出発点としている。
中でも注目し . . . 本文を読む
ソシュールなどの構造主義の旗手となった考え方や、ポスト構造主義の思想家たちの影響もあり、経済学、ことにマルクスについてはいくらか調べていた。
そのこともあって、経済学についてはほとんどまともに勉強したことはないが、関心が強かった。
岩井克人がその半生を語るこの著作についても、文庫本になる前から気になっていたが、かなりの長編であることを知っていたので手に取れなかった。
もう一度調べると、文庫本になっ . . . 本文を読む
17歳だった私は、16歳の少女と運命的な出会いをする。
少女は今ここにいるのは自分の影であり、本当の自分は街の中の図書館にいるのだ、と話した。
しかし、その少女は突然私の前からいなくなり、私はその街にいるはずの本当の少女を捜し求める……。
村上春樹の新作長編小説。
村上春樹にしては大変珍しく、最後に「あとがき」を残している。
しかし、その「あとがき」を読めば、彼が生涯を通して描こうとしている喪失 . . . 本文を読む
「地球にちりばめられて」「星に仄めかされて」から続く三部作の、完結編。
何で知ったのか覚えていないが、「地球に~」を読み始めて、心待ちにしていた作品だ。
自分の祖国を失ったHirukoが、様々なルーツを持つ男女とともに、自分の祖国を探す旅に出る。
とにかく東を目指した一行はロシアの方に向かう船で様々な人々と出会う。
当たり前だが、この作品だけを読んでも全く分からないので、先に他二冊を読んでおく . . . 本文を読む
最後の最後で、圧倒される。
カイアは幼少期、母親が家を出て行くのを見た。
そのときいつもの買い物に行くような様子ではなかったことを覚えていた。
次いで、兄と姉が相次いで家を飛び出した。
カイアは酒に溺れる父親とともに、人々が寄りつかない湿地で過ごすことになった。
カイアが24歳になったころ、湿地で一人の若者の死体が発見される。
地元で有名なクオーターバックの選手だったチェイス・アンドリュースは湿 . . . 本文を読む
中学一年生の安西こころは、不登校だった。
ある日、自室の姿見が光っていることに気づいた。
触れてみると引き込まれ、気づくと謎の城にいた。
そこには「オオカミさま」と名乗る仮面をつけた少女がいた。
ここにある鍵を見つければ、願いを一つだけ叶えてやろう。
驚いたこころだが、翌日もう一度訪れると、自分以外にも孤城に誘われた者がいることを知る。
本屋大賞を受賞していた話題の本。
なぜ読もうと思ったのかわ . . . 本文を読む