言わずもがな、村上春樹の長編小説である。
画家である「私」は、依頼をうけて肖像画を描くという仕事をしていた。
そんなある日、6年間連れ添った妻から一方的に「もうこれ以上一緒に暮らすことはできない」と告げられる。
放浪の旅に出た後、彼が行き着いたのは大学時代からの友人の雨田の父が住んでいた小田原の家だった。
創作活動にもどれないで白いキャンバスを前に立ち止まっていた「私」に、莫大な金額による肖像画 . . . 本文を読む
真の意味での奴隷とはどのような人たちことだろうか。
私は、ただ身体や精神を主人に縛られた人のことではないような気がしている。
奴隷とは、「身体や精神を不自由にされているにもかかわらず、それに気づかない人」のことではないだろうかと思う。
不自由であること、束縛されていること、自分自身の意志をそがれていることに気づいている人間は、何らかの抵抗をするものだ。
それができないと分かっていても、である . . . 本文を読む