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ここのところ天気がすっきりしない日が続いたりしていましたが、それでも今日のような晴れ渡った5月の朝の気持ち良さは格別です。
こんな朝は何を聴こうかなんて、ちょっとぜいたくに悩んだりしてしまうんだけど、今日一番にCDのトレイに乗せたのは、スティーリー・ダンの「彩(エイジャ)」です。
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1曲目のベースとドラムのコンビネーションが響いただけで、西海岸の持つ明るさが部屋の中に満たされたような気がします。
西海岸の明るさと、都会的なクールなムードが同居したようなサウンドは、静かな朝の涼やかでまぶしい空気にとてもよく溶け込んでいます。
いつの間にか、コーヒーを入れる手つきまで、ちょっとリズミカルになったりしてるんです。
ドナルド・フェイゲン ウォルター・ベッカー
このアルバムは、ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーのふたりになったスティーリー・ダンが、彼らの理想とする音をとことん追求したものらしく、実際、招かれたミュージシャンも腕利きばかり。この豪華なバック・ミュージシャンが、曲の意図を見事に消化して、1曲1曲の完成度を高めていますね。
とくに耳につくのがチャック・レイニーのセンスの良いベース。ジョー・サンプルのピアノやトム・スコットのサックスもクールでいいですね。
またほとんど曲ごとにドラマーを替えているあたりが、リズム・ワークに対するさまざまなアプローチを表しているようでもあります。
このアルバムは、ウエスト・コースト・ロックをフュージョンのフィルターにかけたような、というか、ロック、ジャズ、ポップス、ソウルが見事にクロスオーヴァーしたサウンドが満載です。
アルバムを通して聴いた時の曲群のバランスも絶妙で、選り抜いたような精度の高い音と、計算しつくしたかのような緻密なサウンドが展開されています。
インテリジェンスあふれる雰囲気だけど、それが鼻につくことはないんですよね。
ジャケット写真は日本人の藤井秀樹氏が、当時世界的なモデルだった山口小夜子氏を起用して撮影しています。
クールで、張り詰めていて、そしてこんな洒落たサウンドを朝から浴びると、今日の一日を「いい日」にしよう、という楽しい欲が出てくるのが不思議です。
◆彩(エイジャ)/Aja
■歌・演奏
スティーリー・ダン/Steely Dann
■リリース
1977年9月23日
■プロデュース
ゲイリー・カッツ/Gary Katz
■収録曲
A1 ブラック・カウ/Black Cow
2 彩(エイジャ)/Aja
3 ディーコン・ブルース/Deacon Blues ☆ビルボード19位
B4 ペグ/Peg ☆ビルボード11位
5 安らぎの家/Home at Last
6 アイ・ガット・ザ・ニュース/I Got the News
7 ジョージー/Josie ☆ビルボード26位
※ All songs written by Walter Becker & Donald Fagen
☆=シングル・カット
■録音メンバー
【steely dan】
ドナルド・フェイゲン/Donald Fagen (lead-vocal, synthesizer, police-whistle②, backing-vocals②⑤⑦)
ウォルター・ベッカー/Walter Becker (guitar②, bass③, guitar-solo⑤⑥⑦)
【guests】
ヴィクター・フェルドマン/Victor Feldman (Electric-piano①③⑦, vibraphone⑤⑥, piano⑤⑥, percussion②④)
ジョー・サンプル/Joe Sample (Electric-piano②, clavinet①)
ポール・グリフィン/Paul Griffin (Electric-piano④, backing-vocal④)
ドン・グロルニック/Don Grolnick (clavinet④)
ラリー・カールトン/Larry Carlton (guitar①②③⑤⑦, guitar-solo⑥)
リー・リトナー/Lee Ritenour (guitar③)
ディーン・パークス/Dean Parks (guitar③⑥⑦)
スティーヴ・カーン/Steve Khan (guitar④)
デニー・ダイアス/Denny Dias (guitar②)
ジェイ・グレイドン/Jay Graydon (guitar-solo④)
チャック・レイニー/Chuck Rainy (bass①②④⑤⑥⑦)
ポール・ハンフリー/Paul Humphrey (drums①)
リック・マロッタ/Rick Marotta (drums④)
エド・グリーン/Ed Greene (drums⑥)
スティーヴ・ガッド/Steve Gadd (drums②)
バーナード・パーディ/Bernard Purdie (drums③⑤)
ジム・ケルトナー/Jim Keltner (drums, percussion⑦)
ゲイリー・B.B. コールマン/Gary B.B. Coleman (percussion④)
トム・スコット/Tom Scott (tenor-sax①, lyricon④)
ウェイン・ショーター/Wayne Shorter (tenor-sax②)
ピート・クリストリーブ/Pete Christlieb (tenor-sax③)
ジム・ホーン/Jim Horn (sax, flute)
ビル・パーキンス/Bill Perkins (sax, flute)
プラス・ジョンソン/Plas Johnson (sax, flute)
ジャッキー・ケルソ/Jackie Kelso (sax, flute)
チャック・フィントリー/Chuck Findley (brass)
ルー・マックリアリー/Lou McCreary (brass)
スライド・ハイド/Slyde Hyde (brass)
マイケル・マクドナルド/Michael McDonald (backing-vocals④⑥)
ティモシー・シュミット/Timothy B. Schmit (backing-vocals②⑤⑦)
クライディー・キング/Clydie King (backing-vocals①③⑥)
シャーリー・マシューズ/Sherlie Matthews (backing-vocals①③⑥)
ヴェネッタ・フィールズ/Venetta Fields (backing-vocals①③⑥)
レベッカ・ルイス/Rebecca Louis (backing-vocals①⑥)
■チャート最高位
1977年週間チャート アメリカ(ビルボード)3位、イギリス5位
1978年年間チャート アメリカ(ビルボード)5位
ジェイさん、このサウンドをバンドでやったことがあるのですか?すごい~(^^)
ぼくの想像なんですが、このサウンド、クールに聴こえるからといって、テクニック優先でまとめてしまうと、楽しさはまず出てこないと思うんですよね。そのへん、このアルバムの音がクールながらも音が見事に生き生きしていることの証明だと思うんです。
月並みですが、名盤ですよね。(*´▽`*)