洋楽ロック指向だったぼくの耳を日本のロックに向けさせたのが、カルメン・マキ&OZでした。
独特の重さと暗さをたたえたファースト・アルバムを聴いて、すぐそのサウンドとマキ嬢の大ファンになったんです。「ああ、日本にもこんなオリジナリティを持ったバンドがあったんだ」と感動さえしました。
このアルバムは何度も何度も繰り返して聴きましたね。でも飽きることはありませんでした。飽きるどころか、マキ&OZのサウンドにもっと浸りたい、という思いで次に買ったのが、マキ&OZのセカンド・アルバム「閉ざされた町」でした。
「閉ざされた町」はロサンゼルスで4ヶ月かけて制作されました。OZのサウンドは前作に比べてよりヘヴィになっています。すでに貫禄さえ感じるくらい。
曲はすべて春日博文によるもの(「崩壊の前日」のみ川上茂幸との共作)です。彼の書く曲は、ハード・ロックの枠にとどまらず、どこか和風というか、和製フォークの香りと暗さが漂っているのが特徴だと思うのです。
歌詞はすべて加治木剛のペンによって書かれています(「火の鳥」のみ栗原祐子との共作)。不思議な雰囲気を醸し出している叙情的な世界は、歌詞というより「詩」と言った方がぴったりくるのではないでしょうか。
それにしてもマキ嬢の歌は凄い。前作に比べてさらにスケール・アップしている感じがします。素晴らしいミュージシャンは皆そうなんですが、マキ嬢の歌声が響くと、聴いているぼくの周りは、独特の暗さを持つ「マキ色」に染められてゆくような気がするんです。
相変わらずシャウトはカッコいいけれど、彼女の歌ってもちろんシャウトだけが魅力なのではなくて、伸びやかに響きわたるその声はまるで翼を生やして大空を駆け巡るかのような飛翔感さえあります。
このセカンド・アルバム全7曲のうち、1曲目と7曲目は、いわば「挨拶代わり」の小品です。
1曲目の「イントロダクション」に続く2曲目の「崩壊の前日」は、スピード感のあるハード・ロックです。日本のロック史上に残る、存在感のある曲と言っていいでしょう。その後、3曲目から6曲目まではミディアム、あるいはミディアム・スローのとてもヘヴィな大作が続きます。とくに印象に残るのが、タイトル曲の「閉ざされた町」。10分以上ある力作で、春日博文のギターが重苦しいムードを高めています。マキ嬢の歌からは重くて暗い世界が見えてきます。
「Lost Love」の中盤で聴かれる重厚なリフや、オルガンの音色が印象的なバラード「火の鳥」などもカッコいいですね。
唯一無比の個性を持ったカルメン・マキ&OZ。彼女らのスタジオ・アルバムは3作しかありません。その3作目のアルバムもぼくの好きなものなので、また後日紹介させて頂きたいなあ、なんて思っています。
◆閉ざされた町
■歌・演奏
カルメン・マキ&OZ
■アルバム・リリース
1976年8月
■プロデュース
金子章平 & Erik Scott
■収録曲
① Introduction
② 崩壊の前日 (詞:加治木剛 曲:春日博文&川上茂幸)
③ 振り子のない時計 (詞:加治木剛 曲:春日博文)
④ 火の鳥 (詞:栗原祐子&加治木剛 曲:春日博文)
⑤ Lost Love (詞:加治木剛 曲:春日博文)
⑥ 閉ざされた町 (詞:加治木剛 曲:春日博文)
⑦ Epilogue
■録音メンバー
カルメン・マキ(vocal)
春日博文(guitar)
川上茂幸(bass)
川崎雅文(keyboards)
久藤賀一(drums)
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この曲、高校生のときにバンドでコピーしてやってましたよ。
ただしボーカルは女の子じゃなかったんで、そいつはヒーヒー言って声が出ず、すぐに脱退しましたね。
いい曲ですよね~。
ぼくの友人もOZのコピーやってましたけれど、ボーカルがやっぱり一番たいへんだったみたいです。あれだけパワフルに歌えるコってなかなかいないですもんね。
「閉ざされた町」、『くさった猫が~』という歌詞が衝撃(^^;)でした。