もともとジャズをメインに語るつもりだったこのブログ。
当初の思惑からはどんどん外れていってますが、これもアドリブ、つまり一種のジャズの現象だ、とムリヤリこじつけてみます。
今回の話題の主、ビル・エヴァンスは、1980年に亡くなった、ジャズ・ピアニストのことです。
同姓同名のサックス奏者もいます。どちらもマイルス・デイヴィスのバンドに参加したことがあるので、ちょっとややこしい。
幼稚園くらいの頃にテレビなどで耳にしたメロディで、今でも覚えているものってありませんか?
子供番組の曲や、歌番組で聴いた歌謡曲などではなくて、思わぬところで覚えていた思わぬ曲、ってやつのことです。
メロディの断片ではありますが、ぼくは、ホルスト作曲の組曲「惑星」の中の「木星」(地元大手交通会社のCMに使われていた)や、映画「大いなる西部」のテーマ曲(ローカルニュースのタイトルバックに使われていた)などが好きだった記憶があります。そういう曲って、今でも好きです。
それら幼児期にテレビで覚えた曲の中で、とてもきれいな旋律を持つ、しっとりとした感じのピアノ曲がありました。ローカル局の天気予報のBGMで流れていた曲です。
ほんの幼児だったぼくの心にもしっかり刻みこまれた、不思議な雰囲気の曲でした。
さて、その幼児の図体はデカくなり、ナマイキにもジャズなんぞを聴くようになります。
前にも少し書きましたが、名盤ガイドの類いを頼りに聴きあさっていたぼくは、当然のごとくビル・エヴァンスというピアニストの作品に興味を持つようになります。そして、どの本を見ても絶賛されている、女性らしきシルエットが浮かんでいる幻想的なジャケットの作品に手を出してみます。
1曲目。静かな雰囲気で始まります。どこかで聴いたことのあるような親しみやすいメロディをピアノが詩的に奏でている。「マイ・フーリッシュ・ハート」か・・・。いい感じです。
2曲目。ワルツだ。ん? ちょっと待てよ。これもどこかで聴いたことあるな~。
・・・そうか! 幼稚園の頃、天気予報で流れてた曲だ!!
これで一挙にエヴァンスが身近に感じられました。
ほんとうにぼくという人間は単純にできてます。
エヴァンスといえば、スコット・ラファロというベーシストの名がすぐあがります。
このふたりが繰り広げるインタープレイは、唯一無比の素晴らしい世界を作り上げています。
しかしこのインタープレイという奴、一種の麻薬のようなものだという気もします。自分が自由に弾くことのできる快感に溺れてしまうと、自分をコントロールできなくなってしまい、結果的に単なる音の垂れ流しに陥ってしまう危険性があると、ぼくは思っているのです。
彼らの「インタープレイ」は、音楽的に波長の合うエヴァンスとラファロのふたりだからこそ成立した、特別な世界ではないか、と今では思っています。
独特のタッチ、リリカルな演奏、ロマンティックで思索的なオリジナル。
美しい世界です。
エヴァンスがジャズ初心者からジャズ通まで幅広く聴かれているのもわかるような気がします。
ビル・エヴァンスは、「エヴァンスに駄盤なし」と言われるくらい安定して良質の作品を世に送り出し続けました。
ぼくはエヴァンスに親しんだおかげで、広く深いジャズの世界にも恐れを抱くことなく親しむことができるようになった、とも言えるでしょうね。
おいエヴァンスってどうだい?ケッコウいいぜ
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