霊山寺は「りょうぜんじ」と読みますが、奈良市の西、富雄にある1300年の歴
史を持つ古刹です。神社のように鳥居をくぐり抜けて入ります。弁財天様が祀
られているからだそうです。その辺の神仏の混淆工合はよくわかりませんが。
聖武天皇由来の大寺です。失礼な言い方かもしれませんが、各時代の住
職に経営の才があって、隆盛を極めてきたし、今も栄えているという感じ
がするお寺です。
インドから来て、大仏開眼をなさったという高僧、菩提僊那さまのお墓とさ
れているところです。菩提僊那さまは大安寺で没せられたのですが(その
大安寺は東大寺や興福寺と並ぶ大寺だったのに、霊山寺とは対照的に、
見る影もなく寂れてしまったのですが)、ふるさとの霊鷲山に似ていると
いうのでこのお寺を霊仙寺と名付けられた方で、ここに葬られることを望
まれたのだそうです。
境内は整然と手入れが行き届き、大きな薔薇園も有名です。ご本尊の薬師
如来像などありがたい仏像はもちろん、昭和に建てられた金箔作りの黄金
殿、プラチナ箔の白金殿などというのもあります。
涼しい木陰を散策すると、国宝の本堂や鐘楼や八体仏霊場など見どころが
たくさんあります。
中でもこの落ち着いた朱色の三重塔、すてきです。
赤い灯籠に、開きかけのピンクの蓮の花が美しい。昔の人は、
極楽はかくやと思ったかもしれません。