キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

りんどう

2014-09-23 09:56:51 | 季節の花々
              

               「龍胆は枝ざしなどもむつかしけれど、こと花どもみな霜枯れ

               たるに、いとはなやかなる色あひにてさし出たる、いとをかし」

             清少納言の「枕草子 草の花は」の一節です。「リンドウは枝の

             具合なども見苦しいが、他の花がみな霜枯れている中で、華や

             かな色合いに咲いてとても美しい」というような意味。色のない

             晩秋の野辺にリンドウの紫はとても映えたのでしょう。平安の昔

             から好まれた花だったのですね。ところが、それと同じ様な意味

             合いの美しい詩を、19世紀のアメリカ、ニューイングランドに見つ

             けました。エミリー・ディキンスンの「神は、小さいリンドウの花を

             創った」です。
              
まぶしい庭へ
ターシャ・テューダー
KADOKAWA/メディアファクトリー

              神は、小さいリンドウの花を 創った。

              リンドウは バラの花になりたがった。

              けれど、なりきれず、夏のものどもが あざ笑った。

              けれど、雪が来るまえに、


              リンドウの紫の花は 立ち上がった、

              丘じゅうを ただ うっとりさせて。

              夏のものどもは 顔をかくして、

              あざけりは 静かになった。

               エミリー・ディキンスン・ターシャ・チューダー ないとうりえこ訳
                                   「まぶしい庭へ」より                                     

           何と美しい詩でしょう。そして、洋の東西を問わず、時代を問わず、

           詩人の感性は、これほどにも似ているのですね。
A Brighter Garden
Tasha Tudor
Philomel
               
コメント
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