奈良市の西に位置する西大寺は、その名の通り東大寺と並ぶ
天平時代からの大寺です。東大寺を建立された聖武天皇の娘
称徳天皇が765年に興されました。
そんな大寺も栄枯盛衰は世の習い、平安時代に著しく衰退しますが、
鎌倉時代に叡尊上人という方が再興し、その後紆余曲折を経て、今
に至るそうです。
東大寺に比べると小じんまりしていると言えるでしょうが、それでも
南都七大寺の一つ、なかなかの風格です。
西大寺と言えば、大茶盛が有名です。叡尊上人が飲酒を戒め、酒盛
の代わりに茶盛を始め、それが800年連綿と受け継がれています。一人
では持てないほど大きく重い茶碗でいただく豪快な茶席です。
私の訪れた日は、大茶盛ではありませんが、裏千家を初め様々な
流派が一堂に会する大茶会「珠光茶会」が開かれていて、和服の
方々など、大勢の上品な感じの女性の姿が見られ、白梅もほころ
び、うららかに晴れた良い日和でした。
そろそろ帰ろうとした時、塀の向こうから賑やかな可愛い声が聞こ
えてきました。遊具の端も見えています。お寺の中にある西大寺幼
稚園です。とても評判の幼稚園で、なかなか入るのが難しいと聞い
たことがあります。そう言えば東大寺には東大寺学園という付属の
超難関男子進学校があります。それに比べて入るのが難しいとはい
え幼稚園、西大寺の明るさ、優しさが感じられる可愛い声に見送ら
れ楽しくなりました。
門を出ると、歴史の道の標識が。秋篠寺も近くです。ゆっくりと古
都を散策するには良い地域です。
マンホールの蓋も奈良らしい八重桜と鹿の図柄です。