さまざまな色の朝顔が、あちらこちらで咲いています。秋が深まるに連れ
だんだん花が小ぶりになって、自分の季節が終わるのを名残惜しむよう
に、朝だけでなく昼間も咲き続けるようになるんですって。
源氏物語の第二十帖は「朝顔」といいます。あまり注目されない地味な帖です。
第四帖の「夕顔」は割とよく知られています。ふとしたことから光源氏と深い
中になり、その頃光源氏が付き合っていた六条御息所の生霊に取り殺され
るというショッキングなエピソードですからね。
嫉妬した生霊に取り殺されるなんてことがありうるとしたら、かなりの
数の女性が、原因不明の変死を遂げることになるでしょうね。
それにしても、悪いのは光源氏です。全く見境なしに、節操なしに、ちょっ
といい女だと手を出すなんて。紫の上というすばらしい正妻がいるのに。
今だったら最低のゲス野郎です。でも魅力的なんでしょうね。
ところがこの二十帖の朝顔の君は、光源氏のかなりしつこい求愛にも、
過去の女達のように、一時の快楽の後に捨てられて、つらい思いをす
るのはいやだと、ことわり通すのです。賢い女性です、見方によっては
つまらない人?でも、あの光源氏をふるなんて、ちょっと小気味いい。