日本書紀編纂で知られる舎人親王が創建したという奈良の松尾寺。
日本最古の厄除け寺だそうですが、三月の小雨の降る日訪れた時
には車の厄除けに訪れている人数人がいるだけで、森閑としてい
ました。木立の中にたたずむ三重塔がなんとも美しい。
赤い鳥居がお山全体に延々続き、内外の観光客でごった返す伏見稲荷
などと比べ、心休まる静けさです。どちらがどうというわけではあり
ませんが、外国人の観光客向きでないのは確かです。
と思っていたら、なかなか面白いお寺のようです。縁日は参詣客でに
ぎわい、春にはお花畑に薔薇が咲き乱れ、夏には「小僧体験一休さん」
というユニークなイベントを行っていて、小僧体験をする小学生の男
の子たちで溢れかえるとか。二泊三日のかなり厳しい修行のようで、
リタイアした子は無料、最後までがんばった子の費用は五千円だそう
です。これを体験すると、子どもたちは家のありがたみが身に染みる
とのこと。やんちゃな孫息子がもう少し大きくなったら、修行させた
らいいかもね。
帰り道、緑の中にしだれた桜が優美でした。
苔に覆われた岩の間に小鳥が。保護色のような色合いでよく見ないと
わかりません。ミソサザイですよと、教えられました。漢字で書くと
鷦鷯。むずかしい。昔話にも出てくる、鳴き声がいいので知られるか
わいい小鳥に見送られて松尾寺を後にしました。