貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

亭主ぶり?

2021-08-06 09:58:30 | 日記

亭主ぶり?

令和3年8月6日(金)

おもしろき 

  秋の朝寝や 

     亭主ぶり

  前書き「あるじは夜あそぶことを

このみて朝寝せらるゝ人なり。

宵寝はいやしく、朝起きはせはし。」

 秋の朝寝は何とも心地よく、

亭主の配慮に感謝するばかりだ、

の意。

 元禄七年(1694)の作。

「あるじ」・・車(しや)庸(よう)  をさす。

「亭主ぶり」・・・亭主の心遣い。

 「閉関之説」の

「宵寝がちに朝をきしたる覚(さめ)

の分別、何事をかむさぼる」にも通じ、

早寝早起きからはずれることも

時によしとする柔軟な姿勢が感じられる。

 俳席後に車庸亭で一泊した翌朝、

ゆっくり休んだことを謝した挨拶吟。

 ◎ 車庸をいう前書きの家に泊め

てもらって、目が覚めたら、

まだ皆眠っていて、家の中は静かだ。

 秋の晴れた日に、寒からず

暑からずで、朝早くから働くでなし、

のんびりしている。

 ゆっくりと朝寝をさせてくれた

主人の気遣いにも気持ちがよい。

 秋の爽やかな気候がよく出ている

一句である。

 最後の亭主ぶりに、車庸への感謝が

こもっている挨拶句である。

 元禄七年秋の初め、この頃芭蕉の

体調はまだよくなくて、

秋を喜んで迎えていた。

 彼の病気はこの頃から二・三ヶ月で

急に募ってくる。

 病気は分からぬが、急性の細菌性

のものであったという推測を

私はしている。

 ゆっくりと悪くなる病気ではなくて、

急逝が襲ってくる病態と思う。