特別な春の暮
令和3年8月23日(月)
入かゝる
日も程ゝに
春のくれ
暮春に相応しく、日もよいほどに
ゆっくり沈んでいく、
の意。
元禄二年(1689)の作。
「程ゝに」・・・ほどよい具合に。
「春のくれ」・・・暮春の夕暮れの意。
◎ 春の夕陽は沈む前に赤い靄で
彩られる。
のんびりと暖かい一日を過ごした後に、
柔らかな赤い靄が美しく優しく
西の空を染めている。
このような日没は、
夏の焼き付くような夕日、
秋の輪郭のはっきりした夕日、
冬の弱々しい雪に消えるような夕日
と違って、靄の力で輪郭が柔らかに
広がる、特別な春の暮れなのだ。