秋 その寂寥感?
令和3年8月7日(土)
秋の夜を
打崩したる
咄(はなし)かな
前書き「菊月廿一日 潮江車庸亭」
秋の夜の寂しさも打ち崩すほど、
今宵の咄は和やかで楽しいことだ、
の意。
元禄七年(1694)の作。
「菊月」・・・九月
「打崩したる」・・・打ち解けた談笑
の様をいい、それが秋の夜の寂寥感を
破ったとする。
底本に、これを立句とする半歌仙を
収録。
之道・酒堂間の調停を意図した大坂
での興行で、人の和を大切にする芭蕉
らしい一句。
◎ 細雨がしとしとと降る。
静かな秋雨である。
沈黙は憂鬱を誘う。
句会に集まった人々は、敢えて声高
に面白い話をする。
しかし、話が途切れると、
沈黙が雨に打たれる心地になる。
そこで、誰かが声高らかに面白い
話をする。
しかし、その声高話も秋雨に負け、
沈黙に落ちる。
陽気な話の主は返って侘しさを
深くする。