芭蕉の喝破!そのままよ
令和3年8月13日(金)
琵琶湖の東にある花の山伊吹山。
もう一度登りたい山の一つだ。
其まゝよ
月もたのまじ
伊吹山
伊吹山は、そのままでよいのだ。
月の風情を頼む必要もあるまい、
の意。
元禄二年(1689)の作。
前書き「戸を開けば、西に山あり。
息吹といふ。花にもよらず、
雪にもよらず、只これ孤山の徳あり。」
「孤山の徳」・・・独り毅然と立つ山の
偉大さ。
中国、宋代の林和靖が隠棲した西湖
の畔の孤山が念頭にあろう。
斜嶺亭における吟。
前書きの句で、自然界の美を代表
する雪月花を揃えつつ、それを
「たのまじ」としたところが大胆で、
伊吹山の秀麗ぶりを強く印象づけて
いる。
◎冬になると、伊吹山は真っ白に
化粧され、伊吹おろしの凍った風を
送ってくる。
その巍(ぎ)々(ぎ)を聳える姿は
美しいよりも、激しくて見る人を
震え上がらせるようだ。
世に伊吹山は、月雪花の風流の
欠けらももない、恐ろしく自然の姿
だと言われている。
それを俳句の世界として、
詠い上げるには相応の覚悟がいる
ぞと芭蕉は喝破した。
爽快である。