貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

梅の花‥春を待つ冬籠り

2021-08-09 10:30:43 | 日記

梅の花‥春を待つ冬籠り

令和3年8月9日(月)

 暦の上では、既に秋。

 今日から、冬の句へ。

先祝へ 

  梅を心の 

    冬籠り

  前書き「しばしかくれ人に申遣す」

  来るべき春を何よりも祝うがよい。

 今の境遇は梅が諸花に先駆けて咲く

ことを心に思い、厳しさに耐えて

春を待つ冬籠もりなのだ、

の意。

 貞享四年(1687)の作。

「かくれゐける」・・・罪を得た

     杜国を指す。

 「難波津に咲くやこの花冬籠り 

今は春へと咲くやこの花」

(古今集・仮名序)を踏まえており、

『刷毛序』の句文「権七に示す」から、

杜国の前途を期して詠み、その家僕

権七に与えたものと知られる。

 ◎ 冬の扉を開けるのが梅。

今は仮に世を偲ぶ冬籠もりをしていても、

百花に先んじて冬に咲く梅の花を思え。

 冬籠もりの境遇にあっても、

おのれが梅のように一番先に

美しい花を咲かせようと思う

矜持を持とうぞ。

 この一句は、『古今和歌集』の

紀貫之の「仮名序」を下敷きに

している。

 「そへ歌」としてあげる。

 王仁が仁徳天皇の即位をお勧め

した歌である。

 すなわち、

「難波津に咲くやこの花冬ごもり

今は春へと咲くやこの花」

という梅の花を仁徳天皇になぞらへ

歌ったのを真似ているというのが

一般的らしい。

 芭蕉が梅の早咲きにならって

冬籠もりから抜け出し、

おのれを祝う心地になる意気込みは

しかと読み取れる。