入相の鐘なきこと あゝ無常!?!
令和3年8月24日(火)
鐘つかぬ
里は何をか
春の暮
春も末の夕暮れ、鐘を撞かない
この里では何を頼りにしているの
だろうか、
の意。
元禄二年(1689)の作。
春の暮れの寂しさ、心許なきを
問いかける形で表したもの。
◎ 夕暮れとともに入相の鐘を
撞くのが世の習いなのに、
この里は鐘を撞かない。
何だか落ち着かない。
「何をか」は、何か異変があった
感じを与える言葉である。
人が亡くなって僧侶は鐘撞き堂を
離れて檀家の家で経を読んでいるか。
ともかく、春の入相の鐘がないので、
落ち着かない芭蕉の鋭い耳が、
鐘の音のないのを捉えて,
無常を思うまでに至る。