この一句の誕生!裏に六句の推敲句!!!
令和3年8月16日(月)
金屏の
松の古さよ
冬籠
冬籠もりをする家の中、金屏風に
描かれた老松が古雅な味わいを
見せている、
の意。
芭蕉庵で連句を興行した立句で、
『三冊子』に、
これは「屏風には山を絵書て冬籠」
を直したものとあり、
『芭蕉全伝』は、伊賀の平(へい)沖(ちゆう)亭
で、元禄二年に詠んだと記す。
『続五論』では、
「金屏はあたゝかに銀屏は涼し、
是おのづから金銀屏の本情なり」
と指摘。
◎ 弟子の野馬(やば)たちと連句の会を
巻いたときの発句として詠んだ句。
金屏風の金地は古くなると、何となく
光を失い、描かれている松も古びて、
しかし落ち着いた色合いになる。
銀屏風が涼しげに、つまり冬は寒々
とした気配になるのに、
金屏風には寒さに耐えている温かさ
がある。
ところで、この一句を作るために、
六句の推敲句が捨てられたので、
芭蕉が近傍武の風景を愛でて、
立派な発句にしたいと思っていた
熱意のほどがある。