貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

「こした」の精気!清水

2021-08-22 11:24:17 | 日記

「こした」の精気!清水

令和3年8月22日(日)

春雨の 

 こしたにつたふ 

     清水哉

    前書き「苔清水」

 この清水は、春雨が花の雫となり、

樹下に伝って流れ来たものか、

の意。

 貞享五年(1688)の作。

 「苔清水」・・・伝西行歌

「とくとくと落つる岩間の苔清水

汲み干すほどもなき住まひかな」

に因む吉野山中の泉。

 「こした」・・・木の下。

◎ 梢をけぶって見せている春雨は、

幹や新芽を伝わり落ちて、

清水になる。

 西行庵の近くで詠まれた和歌を

下敷きにしているという説もある。

 『野ざらし紀行』には、

「露とくとく 

   心みに浮世 

     すゝがばや」

の苔清水の句が収められている。

 清水は美しく澄んでいるが、

ただ澄んでいるのではなく、

木の幹の精気によって清らかに

澄んでいるのだ。

 それを発見したのは、西行だと

いう先輩への謙虚さが句に滲み出

ている。

 「こした」という言い方は舌足らずで

「このした」という常套句の表現ほど

整っていないところ、

くねくねした幹を雨水が下に流れて

いく情景が鮮やかで面白い。