貢蕉の瞑想

青梅庵に住む貢蕉の日々のつぶやきです。

詠嘆の助詞「も」の効用

2021-08-30 10:37:36 | 日記

詠嘆の助詞「も」の効用

令和3年8月30日(月)

二日にも 

  ぬかりはせじな 

      花の春

 二日にはしくじったりしないで、

日の出を拝んで、初春を祝うのだ、

の意。

 貞享五年(1688)の作。

「二日にも」・・・『三冊子』に

よれば、「二日には」というべきところ、

それでは平板で趣がないため、

「二日にも」にしたという。

「ぬかり」・・・手抜かり、失敗。

 紀行本文に、除夜に酒を飲んで、

夜更かしをし、元日は寝過ごして

しまったとある。

◎ 元日の朝はよってしまい、

初日の出を見損なってしまった。

 そこで、二日に日の出を見ること

にした。

 春の朝の暁の桜を見るのに、

「二日には」とするのは、

「あまり平目にあたりて、聞なく

いやし。」と避けたという話が

残っている。

 「二日にも」の「も」は、

詠嘆の助詞で「二日に」とするのと

同じである。

 しかし、「字足らず」となって

形が悪くなる。

 わずか一文字だが、一字でも

おろそかにしないところが、

芭蕉の面目である。

 井本・堀両氏注解の『松尾芭蕉集①全発句』

には、去来の

「凩の 地迄おとさぬ しぐれ哉」を、

芭蕉が「地迄とかざりたる迄の字いやし」

と教え、

「凩の 地にもおとさぬ しぐれ哉」

と改めさせたとあり。

 我が師匠も大いに啓発された。

 漢字と平仮名の用い方を芭蕉は教えている。