先日、ちょっと面白い漫画を読んでしまいまして(*^^*)
昨日から今日にかけて、何回も読み返してしまってます。
という訳で、今日はその漫画のご紹介をば!
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写真がその本です。
イラストを見て、「アーーーッ」と思った方、私のお仲間でしょうか(^m^)
ハイ、『純情ロマンチカ』でお馴染みの中村春菊・著の『√W.P.B.』(ルートW.P.B.)、全2巻。
FFでお馴染みのスクエニ、エクエア・エニックス出版から出て居る漫画です。
出版社から想像できるとおり、思いっきりファンタジーな内容でして、BLではありません!
お馴染みの時代劇ファンタジーというやつですね。(そういえば、この作者さんって、『純情ロマンチカ』で初めて現代を舞台にして漫画を描かれた・・・とかって聞きますよね)
『Hybrid Child』に結構、世界観が似ているかなぁ~と思います。
表紙を見ると、なんか少年漫画っぽい雰囲気もしますよね?
実際、女の子が主役で、魑魅魍魎を倒す旅のお話なので、少年漫画でもOKかも~と思います。とはいえ、イケメン青年や可愛い男の子も居るので、もちろん、女の子も楽しめる。男女を問わず楽しめるファンタジーものですね。
写真左が1巻で右が2巻。
2巻の後ろに描かれているタバコを吸っている美青年は、なんだか、ロン毛になったウサギさんみたいです(^m^)
物語は・・・というと。
主人公は、すずりという女の子。
彼女の村が鬼に頻繁に襲われ、大変なことになってしまったので、その鬼を退治するために一人旅をしていたわけですよ。でも、旅を始めてから、食べ物にありつけず、空腹で倒れそうになっていたところ・・・川の向こうから、ドンブラコ~ドンブラコ~と巨大な桃が流れてきて。空腹のあまり食い付いたら、中から、桃太郎と名乗る男の子と、キジ、サル、イヌが出てきたのです!
そして、男の子は、すずりのことを「ご主人様(マスター)」と呼びます。彼が入っていた桃を開いた人が、彼のご主人様になるわけですね。で、彼はマスターの命令なら忠実に聞く召使いになるということ。125年ぶりに桃から出てきて、すずりのことも、もう10代目以上のマスターだとか。
因みに、サルの山吹とイヌの浅黄は、本当に動物なのですが、キジの白露は、実は元人間。訳あって、昔、変な魔術をかけられてしまった為に、キジの姿になったり、人間の姿になったりを繰り返しています。その彼が、2巻の表紙の描かれている、ロン毛になったウサギさんみたいな青年です。
この4人は、もう何百年も前から、桃の中に入っていて、桃を開いたご主人様に仕えたりしながら、長~~~~い時を生きてきたわけですね。
なんというか、「桃太郎」と「アラジンと魔法のランプ」を足して割ったような話です。
で、1巻は、すずりと桃太郎(すずりからは「桃」と呼ばれているけど)、時々キジになっちゃう白露に、イヌとサル、この5人(3人+2匹?? 2人+1羽+2匹??)が、鬼を退治しながらの珍道中という感じです。
でも、物語が進むにつれ、鬼の正体が分かってきます。
鬼というのは、単に、人間に害をなす魑魅魍魎というのではなくて、本当は、人間の恨みや妬みなど「負の感情」が作り出した「九夷」という言わば神様のようなものなのですよね。
なので、人間に負の感情がある限り、退治しても退治しても、鬼は消え去らない。
そして、桃太郎とは、そんな「九夷」を倒すために、何百年も前に人間が造り出した、ご主人様の命令に忠実なようにプログラミングされた「兵器」であることも分かってきます。
すずりの過去の話など、切なくグッとくるエピソードもありますが、1巻は、爆笑で明るい珍道中が描かれています。
でもでも。
2巻になると、そんな珍道中だけでなく、桃太郎がどうやって生まれたのか。また、昔は人間だった白露とは、どういう関係があったのか、などなど、シリアスな展開になってきます(もちろん、楽しいシーンも満載ですが)。
2巻では、すずりの前に、桃が青年に成長したくらいの外見を持つ、やはり、「桃太郎」と名乗る青年が現れます。
そして、彼は、彼こそが、唯一の「成功体」の「桃太郎」であり、すずりがいっしょにいる桃は、本来なら廃棄処分されるはずだった不良品だと告げるのです。
そんな不良品の桃は、かつても、自分が使えたマスターの内の何人かを死に至らしめており、このまま一緒にいると、すずりも、やがて桃に殺されてしまうだろう・・・と。だから、自分はすずりを守りに来たのだと。
そうして、話は、何百年も過去の話になり、白露からすずりに語られる、桃の誕生のお話へ。
そんな昔でも、やはり、人間は、九夷に脅かされる日々を送っており、そんな九夷を倒すために製造されたモノ。
「桃太郎」とは兵器名。
喜怒哀楽の感情を持ち、食べ物の摂取により体を維持し、排泄もする・・・人間に限りなく近い、「兵器」・・・それが桃太郎。
桃の腕に刻まれた7999999という数字は、唯一、現存している「桃太郎」である桃の型番号。
けれども、桃は不良品で、廃棄処分待ちの身だった。
唯一の成功体は、すずりの前に前に姿を現していた、型番8000000番の青年の姿をした桃太郎の方であると。
そして、そんな兵器を造り続けていたのは、白露の父親。
研究者である白露の父は、たくさんの「桃太郎」兵器を作っては、失敗作はどんどん廃棄処分していっていたのです。そして、桃も、そんな失敗作の一つ。ほぼ同時期に作られた8000000番の桃太郎が大人に成長しているというのに、まだ、子供の姿のままで。いつかは廃棄処分される不良品だけれども、天真爛漫で、イヌとサルを可愛がってる可愛い男の子。
そして、当時、まだ若かった白露に、とても、懐いていたのです。
白露も桃を可愛がっており、なんとか、桃を廃棄させないで済むよう父に言うのですが、それに対し、父は、
「ソレは、兵器だ。ペットではない。失敗作は、処分しなくてはならない」
の一点張り。
幼い桃自身も、いつかは、自分が破棄されると知っていますし、成功体の8000000番の桃太郎からはさんざん「不良品」呼ばわりされているのですよね(TT)
「痛くない方法で、廃棄されたいなぁ」
って呟いてるシーンとか・・・泣けましたですっっっ(TT)
・・・・・・という、桃の過去の話、桃が抱えている葛藤。
そして、昔、死んだはずの8000000番の桃太郎と対決することで、桃は、過去の闇を乗り越えることが出来るのか・・・それが2巻のお話であり、この物語の完結編でもあります。
時代劇ファンタジーで、色々と爆笑シーンの中にも、ホロリと来るものがあって、感動しましたです(*><*)
時代劇なんだけれども、不思議なテクノロジーに溢れているところとか、『Hybrid Child』とすごく似ていると思いまして。『Hybrid Child』好きにはたまらない作品でした。
愛情を注いで育てる愛玩用と、マスターの命令を忠実に聞く生態兵器の違いはありますが、「Hybrid Child」も「桃太郎」も、人間に限りなく近いけれども、人間ではない異種の生き物であるという点では、同じようなものですよね。
そこらへんが、とても興味深かったです。
1巻の楽しい珍道中記も好きですが、2巻の、桃が自分の存在自体に向き合い、決着を付けるというお話が・・・深くて大好きです。
っていうか、2巻で出てくる敵キャラ、型番8000000の青年桃太郎の外観が・・・野分にそっくりで、激しく萌えました(//▽//)
私の中では、黒野分ですね!
つか、ノワーキ(←フランス語の「黒」である「ノワール」と「野分」をもじってみた・笑)
そもそも、人間が「鬼」と呼ぶ「九夷」は、人間自身の心の闇が作り出したもの。だから、それを退治しようとするなら、まず、その九夷が生まれる根本の原因である人間自身に目を向けないといけないのですよね。
それなのに、科学者である白露の父親は、兵器の力で、無理矢理九夷をねじ伏せようとした。その結果、生み出された兵器が桃達「桃太郎」。
2巻で、すずり達の命を狙うことになる敵キャラ、青年「桃太郎」も悪役と言えば悪役なのですが、100%悪者なのかというと、そういう訳ではなくて。憎めないのですよね。
彼も、また、人間のエゴの犠牲になった被害者なんだよなぁって。
だって、単に、怪物をやっつける兵器で良いのなら、わざわざ、人間の感情を持ち、人間の外観をしている必要なんて無いわけで。
ただの鉄のカタマリで十分なハズなのですよね。
それなのに、敢えて、人間の姿形を持ち、人間と同じ感情を持ち、限りなく人間と近いモノを作ったというのは・・・。
人間に限りなく近い兵器が、兵器としての役割を果たしていく上で、その身体・精神・脳がどのように変化し進化するのか、研究してみたいという、科学者の自分勝手な研究に対するナルシチズムとエゴが籠もっている訳で。
なので、唯一の成功体8000000番の青年桃太郎も。
彼の過去の苦悩などシーンは、とても切なかったです(TT)
負の感情から、九夷を生み出すのも人間。そして、それを退治するために色々な科学を利用するのも人間。
人間に近いけれども、人間ではなく、人間の命令を聞くだけの存在の、桃太郎や桃たちは。人間よりも、ずっと、ピュアで、それなのに、人間に利用されるだけの存在理由に傷つき・・・。すごく可哀相だなぁと。
人間って、勝手だよなぁ~と。
なので、敵とはいえ、青年桃太郎も、悪者とは思えなかったのですよね。多分、彼は彼なりの正義心を持って、現れたのだろうなって。
外観も野分に似てるし、わたし的にはLOVEだよ。
うっうっうっ、切ない(*><*)っっ
そういえば、この作者さんの物語って、現代→過去という手法が多いですよね。
そういう語り口も好きです。
今回も、1巻は5人の珍道中記で、桃太郎の真実が明かされるのは2巻の中盤以降ですし。
『Hybrid Child』も最初は、H.Cという不思議な人形が描かれている物語で、最後になって、初めて、そのH.C誕生秘話が明かされますよね。
つ、月島ぁぁぁぁぁぁ(TT)っっっ(←だから、いちいち、そこで泣くな、自分!)
また『東山道転墜異聞』でも、1巻は、国を追われた藩主の息子・修理と、彼を守ることになった郡司のドタバタギャグという感じで。
でも、その郡司は、修理を庇って死んだ、修理の側近・平九郎の弟で。平九郎に顔はそっくりなのに、性格は全然違う郡司に修理ははげしく対立しちゃうのですが、2巻では、少し過去のお話で。まだ、平九郎が生きていた時。修理とどんな絆を築いて来たのかが描かれて、ウルっとしたり。
かぐや姫をモチーフとした『満月物語』も前半は、ドタバタギャグな感じですが、物語が進むにつれ、かぐやの哀しい過去などが明かされてきますし。
『月は闇夜に隠るる如く』も、物語を読み進める内に、登場人物達の過去が明らかになってくる物語ですし。
そういう、現代→過去で、色々と物語の核心が明かされる展開は好きだなぁ~。
あっ、余談ですが、この『√W.P.B.』も楽しいカバー下コミックが付いてます・笑
欲を言えば、全2巻じゃなくって、もっともっと、続いて欲しかったなぁ~と。
彼らの珍道中記として、もっともっと色んなエピソードを読みたかったかなぁと思いますね。
でも、短く完結に終わっているところが、逆にダラダラ感がなくて良いのかもしれませんが。でも、彼らの冒険、もっともっと読みたかった(^m^)
2003~4年に出版された本なのですが、今でも、版が重ねられていますし、人気な作品だったらいいなぁ。
という訳で、先日から、妙にハマっちゃって、何度も読み返している、オススメ時代劇ファンタジーな漫画のお話でした!
昨日から今日にかけて、何回も読み返してしまってます。
という訳で、今日はその漫画のご紹介をば!
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写真がその本です。
イラストを見て、「アーーーッ」と思った方、私のお仲間でしょうか(^m^)
ハイ、『純情ロマンチカ』でお馴染みの中村春菊・著の『√W.P.B.』(ルートW.P.B.)、全2巻。
FFでお馴染みのスクエニ、エクエア・エニックス出版から出て居る漫画です。
出版社から想像できるとおり、思いっきりファンタジーな内容でして、BLではありません!
お馴染みの時代劇ファンタジーというやつですね。(そういえば、この作者さんって、『純情ロマンチカ』で初めて現代を舞台にして漫画を描かれた・・・とかって聞きますよね)
『Hybrid Child』に結構、世界観が似ているかなぁ~と思います。
表紙を見ると、なんか少年漫画っぽい雰囲気もしますよね?
実際、女の子が主役で、魑魅魍魎を倒す旅のお話なので、少年漫画でもOKかも~と思います。とはいえ、イケメン青年や可愛い男の子も居るので、もちろん、女の子も楽しめる。男女を問わず楽しめるファンタジーものですね。
写真左が1巻で右が2巻。
2巻の後ろに描かれているタバコを吸っている美青年は、なんだか、ロン毛になったウサギさんみたいです(^m^)
物語は・・・というと。
主人公は、すずりという女の子。
彼女の村が鬼に頻繁に襲われ、大変なことになってしまったので、その鬼を退治するために一人旅をしていたわけですよ。でも、旅を始めてから、食べ物にありつけず、空腹で倒れそうになっていたところ・・・川の向こうから、ドンブラコ~ドンブラコ~と巨大な桃が流れてきて。空腹のあまり食い付いたら、中から、桃太郎と名乗る男の子と、キジ、サル、イヌが出てきたのです!
そして、男の子は、すずりのことを「ご主人様(マスター)」と呼びます。彼が入っていた桃を開いた人が、彼のご主人様になるわけですね。で、彼はマスターの命令なら忠実に聞く召使いになるということ。125年ぶりに桃から出てきて、すずりのことも、もう10代目以上のマスターだとか。
因みに、サルの山吹とイヌの浅黄は、本当に動物なのですが、キジの白露は、実は元人間。訳あって、昔、変な魔術をかけられてしまった為に、キジの姿になったり、人間の姿になったりを繰り返しています。その彼が、2巻の表紙の描かれている、ロン毛になったウサギさんみたいな青年です。
この4人は、もう何百年も前から、桃の中に入っていて、桃を開いたご主人様に仕えたりしながら、長~~~~い時を生きてきたわけですね。
なんというか、「桃太郎」と「アラジンと魔法のランプ」を足して割ったような話です。
で、1巻は、すずりと桃太郎(すずりからは「桃」と呼ばれているけど)、時々キジになっちゃう白露に、イヌとサル、この5人(3人+2匹?? 2人+1羽+2匹??)が、鬼を退治しながらの珍道中という感じです。
でも、物語が進むにつれ、鬼の正体が分かってきます。
鬼というのは、単に、人間に害をなす魑魅魍魎というのではなくて、本当は、人間の恨みや妬みなど「負の感情」が作り出した「九夷」という言わば神様のようなものなのですよね。
なので、人間に負の感情がある限り、退治しても退治しても、鬼は消え去らない。
そして、桃太郎とは、そんな「九夷」を倒すために、何百年も前に人間が造り出した、ご主人様の命令に忠実なようにプログラミングされた「兵器」であることも分かってきます。
すずりの過去の話など、切なくグッとくるエピソードもありますが、1巻は、爆笑で明るい珍道中が描かれています。
でもでも。
2巻になると、そんな珍道中だけでなく、桃太郎がどうやって生まれたのか。また、昔は人間だった白露とは、どういう関係があったのか、などなど、シリアスな展開になってきます(もちろん、楽しいシーンも満載ですが)。
2巻では、すずりの前に、桃が青年に成長したくらいの外見を持つ、やはり、「桃太郎」と名乗る青年が現れます。
そして、彼は、彼こそが、唯一の「成功体」の「桃太郎」であり、すずりがいっしょにいる桃は、本来なら廃棄処分されるはずだった不良品だと告げるのです。
そんな不良品の桃は、かつても、自分が使えたマスターの内の何人かを死に至らしめており、このまま一緒にいると、すずりも、やがて桃に殺されてしまうだろう・・・と。だから、自分はすずりを守りに来たのだと。
そうして、話は、何百年も過去の話になり、白露からすずりに語られる、桃の誕生のお話へ。
そんな昔でも、やはり、人間は、九夷に脅かされる日々を送っており、そんな九夷を倒すために製造されたモノ。
「桃太郎」とは兵器名。
喜怒哀楽の感情を持ち、食べ物の摂取により体を維持し、排泄もする・・・人間に限りなく近い、「兵器」・・・それが桃太郎。
桃の腕に刻まれた7999999という数字は、唯一、現存している「桃太郎」である桃の型番号。
けれども、桃は不良品で、廃棄処分待ちの身だった。
唯一の成功体は、すずりの前に前に姿を現していた、型番8000000番の青年の姿をした桃太郎の方であると。
そして、そんな兵器を造り続けていたのは、白露の父親。
研究者である白露の父は、たくさんの「桃太郎」兵器を作っては、失敗作はどんどん廃棄処分していっていたのです。そして、桃も、そんな失敗作の一つ。ほぼ同時期に作られた8000000番の桃太郎が大人に成長しているというのに、まだ、子供の姿のままで。いつかは廃棄処分される不良品だけれども、天真爛漫で、イヌとサルを可愛がってる可愛い男の子。
そして、当時、まだ若かった白露に、とても、懐いていたのです。
白露も桃を可愛がっており、なんとか、桃を廃棄させないで済むよう父に言うのですが、それに対し、父は、
「ソレは、兵器だ。ペットではない。失敗作は、処分しなくてはならない」
の一点張り。
幼い桃自身も、いつかは、自分が破棄されると知っていますし、成功体の8000000番の桃太郎からはさんざん「不良品」呼ばわりされているのですよね(TT)
「痛くない方法で、廃棄されたいなぁ」
って呟いてるシーンとか・・・泣けましたですっっっ(TT)
・・・・・・という、桃の過去の話、桃が抱えている葛藤。
そして、昔、死んだはずの8000000番の桃太郎と対決することで、桃は、過去の闇を乗り越えることが出来るのか・・・それが2巻のお話であり、この物語の完結編でもあります。
時代劇ファンタジーで、色々と爆笑シーンの中にも、ホロリと来るものがあって、感動しましたです(*><*)
時代劇なんだけれども、不思議なテクノロジーに溢れているところとか、『Hybrid Child』とすごく似ていると思いまして。『Hybrid Child』好きにはたまらない作品でした。
愛情を注いで育てる愛玩用と、マスターの命令を忠実に聞く生態兵器の違いはありますが、「Hybrid Child」も「桃太郎」も、人間に限りなく近いけれども、人間ではない異種の生き物であるという点では、同じようなものですよね。
そこらへんが、とても興味深かったです。
1巻の楽しい珍道中記も好きですが、2巻の、桃が自分の存在自体に向き合い、決着を付けるというお話が・・・深くて大好きです。
っていうか、2巻で出てくる敵キャラ、型番8000000の青年桃太郎の外観が・・・野分にそっくりで、激しく萌えました(//▽//)
私の中では、黒野分ですね!
つか、ノワーキ(←フランス語の「黒」である「ノワール」と「野分」をもじってみた・笑)
そもそも、人間が「鬼」と呼ぶ「九夷」は、人間自身の心の闇が作り出したもの。だから、それを退治しようとするなら、まず、その九夷が生まれる根本の原因である人間自身に目を向けないといけないのですよね。
それなのに、科学者である白露の父親は、兵器の力で、無理矢理九夷をねじ伏せようとした。その結果、生み出された兵器が桃達「桃太郎」。
2巻で、すずり達の命を狙うことになる敵キャラ、青年「桃太郎」も悪役と言えば悪役なのですが、100%悪者なのかというと、そういう訳ではなくて。憎めないのですよね。
彼も、また、人間のエゴの犠牲になった被害者なんだよなぁって。
だって、単に、怪物をやっつける兵器で良いのなら、わざわざ、人間の感情を持ち、人間の外観をしている必要なんて無いわけで。
ただの鉄のカタマリで十分なハズなのですよね。
それなのに、敢えて、人間の姿形を持ち、人間と同じ感情を持ち、限りなく人間と近いモノを作ったというのは・・・。
人間に限りなく近い兵器が、兵器としての役割を果たしていく上で、その身体・精神・脳がどのように変化し進化するのか、研究してみたいという、科学者の自分勝手な研究に対するナルシチズムとエゴが籠もっている訳で。
なので、唯一の成功体8000000番の青年桃太郎も。
彼の過去の苦悩などシーンは、とても切なかったです(TT)
負の感情から、九夷を生み出すのも人間。そして、それを退治するために色々な科学を利用するのも人間。
人間に近いけれども、人間ではなく、人間の命令を聞くだけの存在の、桃太郎や桃たちは。人間よりも、ずっと、ピュアで、それなのに、人間に利用されるだけの存在理由に傷つき・・・。すごく可哀相だなぁと。
人間って、勝手だよなぁ~と。
なので、敵とはいえ、青年桃太郎も、悪者とは思えなかったのですよね。多分、彼は彼なりの正義心を持って、現れたのだろうなって。
外観も野分に似てるし、わたし的にはLOVEだよ。
うっうっうっ、切ない(*><*)っっ
そういえば、この作者さんの物語って、現代→過去という手法が多いですよね。
そういう語り口も好きです。
今回も、1巻は5人の珍道中記で、桃太郎の真実が明かされるのは2巻の中盤以降ですし。
『Hybrid Child』も最初は、H.Cという不思議な人形が描かれている物語で、最後になって、初めて、そのH.C誕生秘話が明かされますよね。
つ、月島ぁぁぁぁぁぁ(TT)っっっ(←だから、いちいち、そこで泣くな、自分!)
また『東山道転墜異聞』でも、1巻は、国を追われた藩主の息子・修理と、彼を守ることになった郡司のドタバタギャグという感じで。
でも、その郡司は、修理を庇って死んだ、修理の側近・平九郎の弟で。平九郎に顔はそっくりなのに、性格は全然違う郡司に修理ははげしく対立しちゃうのですが、2巻では、少し過去のお話で。まだ、平九郎が生きていた時。修理とどんな絆を築いて来たのかが描かれて、ウルっとしたり。
かぐや姫をモチーフとした『満月物語』も前半は、ドタバタギャグな感じですが、物語が進むにつれ、かぐやの哀しい過去などが明かされてきますし。
『月は闇夜に隠るる如く』も、物語を読み進める内に、登場人物達の過去が明らかになってくる物語ですし。
そういう、現代→過去で、色々と物語の核心が明かされる展開は好きだなぁ~。
あっ、余談ですが、この『√W.P.B.』も楽しいカバー下コミックが付いてます・笑
欲を言えば、全2巻じゃなくって、もっともっと、続いて欲しかったなぁ~と。
彼らの珍道中記として、もっともっと色んなエピソードを読みたかったかなぁと思いますね。
でも、短く完結に終わっているところが、逆にダラダラ感がなくて良いのかもしれませんが。でも、彼らの冒険、もっともっと読みたかった(^m^)
2003~4年に出版された本なのですが、今でも、版が重ねられていますし、人気な作品だったらいいなぁ。
という訳で、先日から、妙にハマっちゃって、何度も読み返している、オススメ時代劇ファンタジーな漫画のお話でした!