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映画『ソロモンの偽証 前篇・事件』

2015年03月16日 | 映画鑑賞記
先週見てきました、映画『ソロモンの偽証 前篇・事件』の感想を!

宮部みゆき原作の小説の映画化。
原作は、文庫本全6巻という、超大作!!

私も、昨年末から読み始めてて、現在、4巻に当たる『第二部 決意(下)』の途中まで読んでます。

全巻読了してから、映画を見に行こう・・・と思っていたのですが、映画の前篇が「事件編」ということで。
もう、私が原作を読み終わっている部分かなぁと思い、早々に見に行っちゃいました。

はい。
原作がとても面白いので、映画も興味深々だったのです~。

で。
前篇は、ちょうど私が今、読み終わっている部分までのストーリーだったので、ネタバレすることもなく安心して、鑑賞しました。


■映画『ソロモンの偽証 前篇・事件』予告編




舞台は、今の時代からは少し遡って・・・1990年。

記録的な大雪になったクリスマスの朝、雪に覆われた中学校の校庭で柏木卓也という14歳の生徒が転落死しているのが発見されます。
不審な点もなく、警察は自殺と判断し、事件は終結したかと思った頃。
学校と、柏木卓也の死体の第一発見者となった女子生徒の元に「告発状」が送られてくるのです。
その衝撃的な内容とは、
「自分は、柏木卓也の死の現場を見て居た者だ。彼は自殺ではなく、殺されたのだ」
と。
そして、そこに記された、行内でも「不良」と言われる生徒たち3人の名前。

ショッキングなこの出来事は、やがて、マスコミの知るところとなり、ヒートアップしていく報道に、学校も生徒達も振り回されるようになっていきます。

更に、生徒の死は続き、不安や恐怖、不信感に包まれた状態のまま。。。

そんなある時。
もう、こんな状況はたくさんだ!学校の中における真相は、自分達生徒の手によって解決して見せる!

と、一人の女子生徒が立ち上がります。

それが、柏木卓也の死体の第一発見者で、自らの元にも「告発状」が送られてきた藤野涼子。

彼女は、柏木卓也が殺されたのか、自殺なのかを、生徒達の手による学校裁判ではっきりさせるといって、校内法廷を開く準備を始めていくのでした。。。。


と。

ここまでが映画前篇の展開。

ちょうど原作を読んでいた部分までだったので、ストーリーは知っているのですが。
それでも、見ていると息苦しくなるような、なんともいえない緊張感や、重苦しい空気を感じずにはいられませんでした。

本当に、鑑賞中、ずっと、息苦しかったです。

でも、その「重さ」というのは、失われて行った命の重さなのかもしれないなぁと。


あの長~い原作を映画にまとめるゆえに、色々と細かい設定やエピソードは、コンパクトに省略されちゃった感は否めませんでしたが、でも、作品の持つ空気は、小説も映画も同じだったと思います。

原作小説では、沢山の生徒が登場し、その様々な生徒達の視点や、また、彼らの背負っている環境などが、とても詳しく描かれているのですよね。
それゆえに、大人や教師の目から見ると、単に「中学生」という簡単な枠で括られ、子ども扱いされがちな彼らが、実は、一人一人、全部違う苦悩を抱えてて、その中でもがきつつ、懸命に生きてる・・・っていうのが分かるのですが。
流石に、映画では、そこまで一人一人については描けないので、そこはサクッと省略って感じでしたよね。

それゆえに、場合によっては、ちょっと物語に唐突感を感じることもありましたが、でも、若干設定を変えても、ヒロインの藤野涼子に焦点を絞った描き方は良かったのではないかと思います。




そしてそして。

この映画で圧巻なのは、生徒達を演じる若手役者さん達の演技!!

どの役の子達も、皆、素晴らしかったです。
確か、この映画の為にオーディションで選ばれた新人さんなのですよね。

目の動き、表情の一つ一つに圧倒されました。

勿論、そんな生徒達を取り巻く大人達の役者さんも見事でして。

ゆえに、重厚な空気が作り上げられていたと思います。



あ、あと、ちょっと思ったのが。
小説の中でも、イジメのシーンは有りましたが・・・やっぱり、文章より、映像で見る方がキツかったです(;;) お芝居だと分かってても・・・ね・・・。

不良グループ達に、ニキビの事でからかわれてた(いや、アレは「からかう」のレベルでは無いよ、完全な暴力とイジメだ・怒)三宅さんのシーンは、目を背けたくなりました。。。

不良の子達には、彼らなりに逃れられない苦悩もあった・・・というのは、後に分かるのですが、それでも、だからと言って、自分達より弱いものに暴力を振るって良い訳では無い!!
暴力やイジメは最低の行為だと憤りを感じずにはいられなかったです。

私自身も、小学校高学年~中学校の頃にかけて、映画のシーン程酷くはなかったけど、やっぱり、男子にからかわれたり、蹴られたり、叩かれたりした経験あったからな。。。。
なんだか、それを思い出して泣きたくなっちゃったです。

だから、良いか悪いかは別として。
三宅さんの執念みたいな怨恨も分からなくはなかったよ。

そして、松子ちゃんはただただ可哀想だった。

映画の松子ちゃん、小説で読んだイメージ通りで。
凄く性格の良い子。
このまま成長してたら、優しい女性になっただろうなぁというだけに。
色々とやるせないです。

やっぱり、イジメはダメだよ(;;)




そうそう。

原作を読んでいた時も、また、映画を見た時も思ったのですが。
中学生って、教師や親が想像する以上にいろいろな事を考えてて、「大人」なのですよね。
皆、色んなことに苦悩し、そして、大人が思っている以上に、冷めた目で大人を観察している。

自分が中学生の時もそうだったなぁと思いました。

もう子供では無い、さりとて、完全な大人になっている訳でもない。

そんなアンバランスで繊細な時期に、こんな大変な事件に巻き込まれてしまったら。。。。

そりゃ、皆、戸惑うし、不信感を募らせるだろうし、怖いだろうし・・・って思いました。

それゆえに、「自分達の手で真相を明らかにする」という、学校裁判への展開。

実に興味深いです。

私もまだ5、6巻は未読なので、後篇が公開されるまでには読了しておきたいと思っています。
続きを読むのが楽しみです。
そして、映画も期待しています。