昨日、行ってきました映画『虹色の硝子』完成披露試写会のレポを(*^^*)
この映画は、人里離れた山奥にある、私立の全寮制男子校・祠堂学院を舞台に繰り広げられる青春&恋愛小説「タクミくんシリーズ」の5巻目『虹色の硝子』が原作です。
映画は、細かいところが微妙に原作とは異なっていましたが、大まかなストーリーとしては、ほぼ原作に忠実に描かれていたのではないかなぁと思いました。
祠堂学院の秋。
主人公タクミのルームメイト兼恋人のギイこと崎義一は、人種としては日本人ながら、アメリカ生まれのアメリカ育ち。国籍もアメリカなアメリカン。何かと大胆な彼は、物語の冒頭から、公衆の面前でタクミにキスをして、周りを驚かせます。
男子校の祠堂学院では、男性同士の恋愛は御法度。
もし誰かが、タクミとギイのキスを先生に告げ口でもしようものなら、二人は間違いなく退学です。ギイの配慮無い行動に腹を立てるタクミですが、結局、誰も先生に告げ口する人は居なかったようで、何事もなかったように普通に日々が流れていきました。それでも、機嫌が直らないタクミは、
「誰も告げ口しなかったから、良かったものの! もし、誰かが先生に言ってたら、僕たち間違いなく退学だったんだよ! でも、いっそ、退学になった方が気がラクだったかも~」
と口走ります。
けれども、その言葉を聞くと、
「学校を辞めるには、已むに已まれぬ事情の人間だっているんだ。冗談でもそんなことを口にするな」
と今度は、ギイが腹を立てるのでした。
こうして少し関係がぎごちなくなってしまったギイとタクミですが、やがて仲直り。
けれども、そんな矢先、急に、ギイがパーティをすると言い出します。名目は何でも良いから・・・季節柄ハロウィンパーティにしようと。そして、一部の2年生だけの参加者の中に、なぜか、1年生イチの美少年、森田徹を招待するというのです。
そして、その徹を招待する役目は、タクミだと。
「そんな2年生ばかりの集まりに、大人しい1年生の森田君が来るわけないよ。なんで、そもそも彼を誘うの?」
とギイに質問するタクミですが、ギイははっきりしたことは教えてくれず、「パーティに華は必要だろ?」と適当にはぐらかすばかり。そもそも、何のパーティなのかも分からず、戸惑うタクミですが、ギイに、絶対に徹を説得して参加させるようにとシツコク念を押されます。
なぜギイが、そんなに徹のことに拘るのか疑問に思うまま、何度も徹に、パーティのことを話そうとするタクミですが、結局は、パーティのことを話すきっかけを掴めず、ギイには、
「誘ったけど、彼は用事があるから来れないって」
と嘘を言うのでした。
そして、パーティ当日。
けれども、徹はパーティに参加していました。徹を誘わなかったタクミでしたが、後からギイが声をかけていた様子。
パーティの最中もやたら徹のことを気に掛けるギイの姿を見て、タクミは、ギイは自分より徹のことを好きになったんだ・・・と思います。
そして、怒ってパーティを飛び出すのでした。
追いかけてきたギイに、彼の浮気心を責めるのですが、そのときに、ギイは、初めてタクミに、このパーティの真の目的を語るのでした。
本当は、このパーティの主賓は、1年の徹ではなく、2年の鈴木健志の方なのだと。健志は、明日、学校を退学するから、その想い出として彼の片想いの相手の徹をパーティに呼びたかったのだ・・・と。
化学部の部長ではあるものの、真面目で特に目立つようなこともない健志。退学させられるような悪いことをするような人間では無い彼が、なぜ、退学するのか。
その理由を、タクミはまだ聞かされなかったのですが、翌日、健志が学校を去った後、ギイは真実をタクミに教えます。
健志は決して治ることのない難病の為に学校を去ったのだと。彼は、病院に死にに行ったのだ・・・と。
それからしばらくして、健志の見舞いに行くギイとタクミでしたが、その病院で、一人健志の見舞いに来ていた徹の姿を目撃します。
健志の片想いだと思っていた徹への思いは、実は、両想いで・・・・・・。
おおまかなストーリーとしては、原作通りだったのですが、感情面の細かい部分が、だいぶ違っていたような印象を受けましたね。
原作小説では、確かに、1年生の徹をパーティに呼ぶことがきっかけで、ギイとタクミが仲違いをするのですが。
それは、タクミの嫉妬・・・というよりも、何か真実があるのにそれを自分には隠しているギイの態度に腹を立てる・・・っていう方が大きいのですよね。
ギイは、何か、タクミに隠し事をしている。そして、ギイは、タクミがその隠し事に気が付かないほど鈍いと思っている。
タクミはギイが自分のことをそんな風に鈍い人間だと思っていたことに腹を立てるのですが、映画では、「嫉妬」が全面的に押し出されていました。
単なる「嫉妬」ではなく、些細なことなんだけど、相手に対して微妙に腹が立つことや幻滅すること。けれども、いくら、恋人と言えども、同じ人間ではないのだから、自分が思っているように、相手も全く同じというわけでもない。とはいえ、例え、腹が立っても、幻滅したとしても、それでも、やっぱり、相手のことが好き。それが「恋」というもの。
原作では、そういう、凄く曖昧なんだけど、繊細で微妙な恋心を描いていたのですが、映画では、嫉妬100%になっていて・・・そこが、少し残念と言えば残念でした。
っていうか。
嫉妬にメラメラ燃えながら、バイオリンを弾く、タクミの目が怖かったよぉぉぉ(><)
でも、やはり、文章で読む小説と違って、映画は視覚的なものですから、文章で感じる曖昧なニュアンスを表現する・・・というのは非常に難しいことだとも想います。
そういう意味では、タクミの、その複雑な感情を「嫉妬」という形が描くのが、映画的には、見ている側に理解しやすいから、それはそれでアリというか仕方ないかなぁ~とも想いましたが。
映画の流れとして、前半半分が、ギイの浮気を疑うタクミの話(修羅場?・笑)、後半半分が、難病で死に直面している健志と、そんな彼を想う徹の話で、タクミとギイはそういう彼らを見守る・・・という展開でした。が、物語を二分しちゃわずに、もっと、縦糸と横糸みたいに、上手く絡めながら展開すればもっともっと良かったのになぁ~と。
小説が、微妙な心理状態などを繊細に描いているので、どうしても、映像化すると、物語が表面的になってしまうのは否めませんでした。
でも、それはどんな映画でも、心理描写の多い小説が原作の場合、多かれ少なかれ感じる問題かもしれないなぁと思います。
原作ファンは(私もですが^^)、つい、原作と比較してしまい、ついつい、「あれが違う。これが違う」と言いたくなってしまいますが。
でもでも、ここはひとまず、「映画」単体として捉えるとするなら、とても綺麗に作ってありましたし、ストーリーも面白くて、良い作品に仕上がっていたと私は思いました。
男性同士の恋愛。
場合によっては、男女のそれより、秘められて繊細なものかもしれません。
それを、とても綺麗な映像で綴ってありました。
祠堂学院という人里離れた全寮制男子校を、自然豊かで紅葉の綺麗な、美しい風景の中で撮ってあったなぁ~と。
そうそう!
学校といえば。
微妙に照明が薄暗くオレンジ色っぽかったり、シャンデリアが普通にあったり、フラワーアレンジメントが至る所に飾ってあったり、中世のお屋敷の書庫みたいな図書館だったり・・・。
まるでホテルのような学校に、
ここは、ホグワーツか!?とツッコミたくなったりもしましたが、ちょっと日本離れしたような、学院の雰囲気がミステリアスで。
それはそれで、俗世から切り離された、良家の子息の学校なのかな~という雰囲気が出ていて良かったと思います。
舞台挨拶で、ロケ地の話がチラって出ていましたが、有名なロケ地らしいですね。
「花より男子」の道明寺家や「メイちゃんの執事」などでもロケに使われた場所だとか。
そんな感じで、すごく綺麗な風景や、歴史を感じさせる重厚な建造物の中で、雰囲気はとても出て居たと思います。
そうそう。
冒頭から、いきなりキスシーンがあって・・・会場が、ほんの少しどよめいていた・・・と思うのは気のせいでしょうか?笑
私も、予告編で見てて、知っていたとは言え、最初は、ちょっとドキドキしてしまいました(*><*) でも、物語が進む内に、映画に集中していたので、あまり気にならなくなりましたが。
あっ!
でも、ギイとタクミのラブシーンが・・・超濃厚で・・・しかも・・・長い!!!
これは、凄くビックリして・・・。
いや、これも、予告でチラっと流れていたので、ある程度、心の準備はしていたのですが・・・それでも、予告編で見るより、そのシーンが長くって。
スクリーンが直視できませんでした(照)
これは、俳優さん達、ホント、体当たりの演技だったと思います。
このラブシーンに関しても、舞台挨拶の時、話題になりましたが。
演じている時は、一生懸命役になりきっていたので、恥ずかしいとかは無かったそうです。
そして、この物語の縦軸がギイとタクミの恋愛なら、横軸は、健志と徹の恋愛。
原作では、おそらく肉体関係を持ってしまったと思われる(そしてそのことが原因で健志は死ぬ)健志と徹ですが、映画では、最後の最後までプラトニックだったようです。
ギイが主催したパーティで、初めて会話をする健志と徹。
本当は両想いなんだけど、お互い、緊張して恥ずかしがってて。
「いつも、どんな本読んでるの?」
と問う健志に、
「ミステリーです」
とひと言で緊張気味に答える徹。
「ミステリーって面白い?」
と更に聴かれ、
「はい!」
と、言葉少なに、でも、嬉しそうに答える徹。
ぎこちない二人の会話が、すごく初々しい「初恋」って感じで。結末を知っている身としては、物凄く切なくなりましたです。
そういえば、このシーンに関しても、舞台挨拶で話題になりましたが。
この、健志と徹が初めて、ぎこちなく、それでも、お互い嬉しそうに会話をする・・・というシーン。
これは、台本には、特に会話の台詞は書いてなかったそうで。
なので、俳優さんお二人が、話し合って、健志と徹なら、こんな感じで初めて会話を交わすんじゃないか?っていうのを想像してのアドリブだったそうで。
とても良いシーンでした。
また、後半も、健志が入院してからも、切ない話は続きます。
お見舞いに行ったものの、病室に、どうしても入る勇気の無かった徹。
そして、健志が危篤という知らせが入ったときも、学校を無断で抜け出し病院に駆けつけるものの、結局、病室には入らなかった徹。
その代わり、病院の外で、健志のいる病室の窓に向けて、ガラスと日光を利用して虹を作るのですよね。
そして、健志は病室のベッドの上で、窓から差し込む虹色の光を見て・・・愛しい徹を思いながら旅立って逝く。
曇り空だったのが徹がガラスで虹を作ろうとした瞬間に、曇り空が晴れ渡り、陽が差してきて。
これは、映画オリジナルなシーンですが、凄く感動的で切ないシーンで・・・ウルっと来てしまいました(TT)っ
タイトルの『虹色の硝子』にも被ってて・・・すごく綺麗なシーンだと思いました。
映画・原作共に、この作品は、男性同士の恋愛だけでなく、友情面もとてももしっかりと描かれていて。
死にゆく友を思い、出来ることはなんでもしようとするギイ。それでも、結局、病気に関しては、何も出来ることはなく、せめて、楽しい想い出を作ってあげたい、片想いの徹との時間を作ってあげたいと思う気持ちなど、切なかったです。
そして。
映画を鑑賞した後は、出演者の方々の舞台挨拶です。
葉山託生役の浜尾京介さん。
崎義一役の渡辺大輔さん。
赤池章三役の滝口幸広さん。
鈴木健志役の高橋優太さん。
高林泉役の細貝圭さん。
森田徹役の日和祐貴さん。
今回メインキャラクターを演じられた、以上6人の俳優さんが舞台に登場
皆様、イケメンさんですね(///)
この映画に出演するにあたっての準備や苦労した点、撮影秘話、映画の見所などを語ってくれました。
結構長くて、30分以上はあってトークショーのような感じでしたね(*^^*)
っていうか、タクミくん役の浜尾さんのお話、面白かったです・笑
初映画・初主演ということで、原作本をちゃんと読まれとのことで。
自分で本屋さんに行き、原作の小説と漫画を探された(!)そうです。
「この本、どこにありますか?・・・って、店員さんに聞いて買いました」
という言葉に、会場は沸いていましたね(^^)
また、渡辺さん曰く、前作と違うキャストということで、プレッシャーも大きかったとのこと。
テニミュの舞台の楽屋でも、前作DVDを見たり、また、今作の台本や原作本を読んだり頑張っていた・・・というお話、お相手役の浜尾さんとはとても年が離れているので、ラブシーンなど、浜尾さんのファンに叱られないかなぁ~と思った・・・等々、色々面白いお話を聞かせてくれました。
やっぱり、舞台挨拶とかあると良いですね(^^)
色々な映画を見ていますが、舞台挨拶を見たのって、今回で3回目くらいかな。
映画の裏話が聞けるのも嬉しいですし、また、
「皆さん、本当に、一生懸命、映画を作られたんだなぁ」
というのも感じられて。
舞台挨拶を見た映画は、やはり、親近感が沸くというか、愛着を感じてしまいますね♪
という訳で、昨日は、楽しい体験が出来ました\(^0^)/