2月中ごろの作業の際は、剪定作業を終えた夜、お酒を飲みながら、今年の作業の予定を皆で話し合いました。その場で改めて感じたのは、外部から来たボランティアの人たちが地域に入って、農作業を行うことの難しさです。
たとえば、初めての方も含め幅広い方に来てもらい、多くの方に作業を体験してもらうことは、活動のすそ野を広げるために重要です。しかし、ぶどうの作業が忙しい5,6,7月に、農家の方に大勢の人を世話してもらう余裕はありません。この時期は寝る間も惜しんで作業する時期。翌日早朝から作業する農家の方も多い中で、作業に来てくれた我々のためにと夜飲みに付き合ってくれるお父さんですが、周りの農家の方からは、「何をやっているのか・・・」と言われることもあるようです。
また、農家の方から言わせれば、9月に収穫をして終わりではなく、秋や冬も、翌年の収穫のための土づくり、剪定などの大切な作業があります。しっかりとした作物を作ろうと思えば、秋に一年のサイクルをスタートするのが望ましいとのこと。
しかし、「ぶどうの手入れをする農作業のボランティア」を運営する側からすれば、枯れ木の中で作業をする秋冬の作業は、やはり「ぶどうらしさ」が感じられません。初めての人が来て、青々とした丘の風景の中で作業を行い、初夏から秋の、ぶどうのみずみずしい生命力を感じてこそ、作業の楽しさや魅力が分かり、一年を通して作業に関わろうという人が増えます。そして、面白みがわかった人は、何回も来るうちに作業も上達することになります。
この辺は、高品質の作物を創ることを第一に考えるプロの農家と、「ぶどうづくり」というイベントの運営を考えていく側の違いかと思います。
ただ、高齢化等により耕作放棄地が広がってしまう中、美しいぶどうの丘の風景をなんとかしたいという思いはみな持っているので、いろいろと議論しつつ、取組みを前に進めようとしているわけです。
そのような話をじっくりと伺い、課題も含め、この地域に関わる人々の様々な思いを知ることで、また一歩、地域との関わりを深められた気がします。