天燈茶房 TENDANCAFE

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M-Vロケットが廃止?

2006-03-18 | 宇宙
いつものように某巨大匿名掲示板の科学ニュース+板を拾い読みしていたら、聞き捨てならないニュースが。

JAXA:M5ロケット廃止へ 「新型」開発も(毎日新聞の記事)

M5(M-V)ロケットと言えば、つい先日天燈茶房ブログでも打ち上げの様子を取り上げた赤外線天文衛星ASTRO-F「あかり」(写真は筆者の自宅庭から見た「あかり」の打ち上げ)や、
小惑星イトカワでの壮絶なミッション遂行後、通信途絶するも先日見事に復活した奇跡の宇宙船小惑星探査機MUSES-C「はやぶさ」(我が「天燈旅社」でも応援してます。ガンバレ!)を打ち上げた、日本が誇る名機。
世界最大の固体燃料ロケットで、抜群の機動性を誇る。先日の「あかり」打ち上げでも、予定時刻直前に突如襲来した集中豪雨を間一髪でかわし、その翌日同時刻に改めて打ち上げを行うと言う俊敏さを見せ付けてくれた。

その珠玉の名機を、何故廃止するのか…!?と訝しがりながら記事を読んでいると、
「JAXAが2種類のロケットを打ち上げるのは無駄だ」との声があるとのこと。
日本にはもう一つ、液体燃料を使う巨大ロケットH-2Aロケットがある。2種類もロケットを持ってると無駄だから、M-Vをなくせと言うのだろうか?

しかし、液体燃料ロケットと固体燃料ロケットにはそれぞれ異なる特徴がある。
例えば、液体燃料ロケットは機能性が高いが構造が複雑で、それに「雨天順延→明日やり直し」なんていう小回りの利く運用はできない。
液体燃料が劣化してしまうので、一旦燃料を抜いて時間をかけて詰めなおさないといけないらしい。
また、固体燃料ロケットは構造がシンプルな分(何しろ基本的には『巨大打ち上げ花火』そのものだ)、柔軟に運用しやすいのは良いが打ち上げ時に振動が大きいらしい。「乗り心地」が悪くなるのだ。

だから、液体燃料ロケットと固体燃料ロケットの両方を持つということは、
その両者の持つ欠点を補い合いながら同時に利点を引き出してロケットの運用が出来るという強みがあると思うのだが…

JAXAは「大幅なコストダウンを目指し、現行システムの改良か、新型開発かの見直し作業を始め」、「現在のシステムを生かし、製造方法や材質を見直すことで打ち上げ費用を半額に抑える」というが、新型開発案としてはH2-AのブースターとM-Vの2段目を組み合わせるなんていう事も検討しているそうだが、H2-Aと部品を共通化することでコストを抑えるのはいいが打ち上げ能力が落ちるというのは…いかがなものでしょうか!?
コストを削減できても基本性能まで削減したんじゃ本末転倒でしょ!?

ここは一つ、M-Vを生まれ変わらせるつもりで、世界が腰を抜かすような後継の超高性能固体燃料ロケットを造り上げ、技術立国日本の底力を見せ付けて欲しいところ。

巨大で精巧な空飛ぶ工芸品が、内之浦ロケット基地の地面を振動させながら青空目指し突進していく…
その頭頂部に載っているのは、世界中から集められた100万人の署名を携え木星に向かう探査機「はやぶさⅡ」だ。
機体の日の丸を輝かせ、美しいロケットが九州の空を切り裂き飛翔し、やがて彼方に消えてゆく…

そんな豪勢な夢見たいよ…!
日本政府もそろそろ、有人宇宙飛行までやっちゃうお隣さんに援助し続けるより、自国民に夢を見させるような有意義な予算の使い方して貰えませんかね?



さようなら出雲

2006-03-18 | 鉄道
今から数時間前、東京と出雲市から2つのブルートレインが最期の旅に出た。
寝台特急「出雲」、今夜ラストラン。

去年の3月、東京駅と長崎駅から寝台特急「さくら」号が最期の旅に出てから僅か1年。
つい数ヶ月前には宮崎と関西を結ぶ老舗の“関西特急”「彗星」を失ったばかりである。
「出雲」廃止で、東京と西日本を直結する寝台特急は唯一の九州直通列車である「はやぶさ」+「富士」と孤高の新鋭特急「サンライズ出雲」+「サンライズ瀬戸」のみとなった。

しかし、恐ろしいのはこれが「終りの始まり」「終末の前哨」に過ぎないということだ。
間違いなく言えることは、東京駅発着の東海道ブルートレイン…もはや「はやぶさ」+「富士」1本を残すのみとなったが…は間違いなく今後数年内に消滅するであろうという残酷な現実である。
数年後、日本からは純然たる寝台特急列車は消滅する。
残るのは「クルージング列車」と言うべき位置づけの、中高年富裕層を狙った豪華寝台特急…北海道行きの「カシオペア」「トワイライトエクスプレス」…と、
低価格を追求した「鉄道版夜行バス」である夜行快速「ムーンライト」シリーズのみとなるであろう。
方や「超豪華」、方や「超低価格」という見事なまでに対極の付加価値を追求する特徴的なグループに棲み分けされる訳で、
この両極端な列車たちがが、次世代の日本の夜行列車の代表選手となっていくはずである。
そこには、「普段着の夜行列車」と言うべきB寝台車を連ねたブルートレインの姿はない。新世紀の日本人はもはや、豪華でもなく激安でもない中庸なブルートレインには見向きもしないであろう。
こうして、夜汽車の世界でも日本の「構造改革」「階層化」が否応無しに進展していくのだろう。

♪いつもいつも 通る夜汽車…
と唄った日々、
夜汽車の窓の明かりに未だ見ぬ明るい明日を夢見た、日本の青春の日々は、永遠に失われていくのである。

さようなら、出雲。
さようなら、夜明けを目指してひたすら駆け抜けた我が国の青春の日々…