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2013初夏・北欧バルト海紀行 #016:OPERA NIGHT フィンランド国立オペラ劇場“Ooppera”

2013-05-30 | 映画・演劇・コンサートを観る
Suomen Kansallisooppera


#015:フィンランド・ヘルシンキ街歩き トラムに乗って大聖堂へからの続き

フィンランドの国立オペラ劇場“Ooppera” は、ヘルシンキ市街地中心部から少しだけ離れて、
中央駅の構内裏手に広がる湖(どうやら正確には、バルト海と水路でつながった「内湾」のようです)の畔にあります。
ちなみに道路を一本挟んで向かい側は、1952年に開催されたヘルシンキオリンピックのメインスタジアムです。



トラム(路面電車)の走る大通り沿いに建つ、近代的かつシンプルモダンな白いビル。これが国立オペラ劇場です。

…正直、拍子抜けしました。
ヨーロッパ諸国の都市の文化的シンボルであるオペラ劇場と言えばやはり、
どっしり重厚な王侯貴族の宮殿のような建物と綺羅びやかな装飾、シャンデリア煌めく玄関広間と天井に届く客席の大階段…
というイメージを抱きますし、実際僕がこれまでに訪れたブダペストやプラハ、そしてウィーンの国立オペラ劇場はまさにそんな荘厳な建築が厳かに、オペラ鑑賞初心者のおっかなびっくりの訪問をド派手に迎えてくれたものでした。

しかし、このヘルシンキのオペラ劇場は日本の都市にもよくある「市民文化会館」みたいな、実に気取らない雰囲気。
「何だか、今まで想像していたオペラ座のイメージと随分違うなぁ…」
まぁとりあえず、建物の中に入ってみるとしましょう。


建物の中もすっきりシンプルなインテリア。
重厚なシャンデリアや分厚く敷き詰められた絨毯はありませんが、いかにも北欧らしい清潔で機能的なデザインで、これはこれで良い感じです。
ホワイエにはお酒を立ち飲みできるビュッフェも設えられて、本格的なオペラ劇場らしさもありますね。

ホワイエの壁は全面が金属とガラス張りのアトリウムで、開放感があります。



アトリウムの外には、湖の畔に広がる公園とそこを散策する人々の姿が見えます。
既に午後6時半を回っているのですが、初夏の北欧ではこの時間はまだ太陽も高くて青空が明るく広がる「長い昼下がり」。

さて、外が明るいので時間の感覚が怪しくなりますが、そろそろ今夜のオペラの開場時間です。
ボックスオフィスでEチケットを引き換えて、客席に着くとしましょう。
今回も事前にWebでオンライン予約したチケットは最上階バルコニー席、27ユーロ也。



僕の席はバルコニーの舞台に向かって右手側でしたが、まだ上演開始までに時間があり客席に誰も居なかったので舞台正面まで行ってみました。
これがフィンランド国立オペラ劇場の、最上階バルコニー客席からの眺めです。
客席も舞台もシンプルモダンなデザインでまとめられています。本当に、現代の北欧らしいオペラ劇場です。



↑サムネイルをクリックするとパノラマ撮影画像が開きます↑



そして今宵の演目は、ドニゼッティ作曲のイタリア・オペラの喜劇「愛の妙薬」
スペインはバスク地方の農村で繰り広げられる、他愛もなく可笑しくてそしてちょっと泣ける恋愛物語のイタリア・オペラを、白夜を思わせる明るい夜のフィンランドで一人旅の日本人が観るというのも中々乙なもの…


「愛の妙薬」は2幕物。
幕間のホワイエのビュッフェは外が明るすぎて、真昼間から飲んでいる気分な雰囲気…(笑)
僕は2020年の「はやぶさ2」地球帰還まで断酒中なので、飲んでる人たちを見るだけで自分では飲みませんでしたけどね、念の為!


“ドゥルカマーラ大先生の愛の妙薬”を飲めない代わりに、誰もいないオーケストラピットを覗き込んでみました。



そして見上げるとバルコニー席。
…そろそろ、あの天井桟敷に戻って、バスクの農民のお二人さんの恋路を見届けるとしましょうか。

何だかんだとあったけど、最後には恋がかなって大団円。
皆が楽しく笑いながらの、農村の恋の物語の幸せな終わり。
この作品は訳あって台本執筆から作曲まで殆ど「やっつけ仕事」状態で1ヶ月足らずで一気に書かれて仕上げられたそうですが、やっぱり誰も傷つかず解りやすい幸せな純情恋愛物語は誰にでも受け入れられやすいテーマなんですね、
「愛の妙薬」は1832年のミラノでの初演以来大ヒット作となり、今でも世界各地のオペラ座で上演される定番の喜劇作品となっています。
ここフィンランド国立オペラ劇場での「愛の妙薬」も、軽妙でテンポの良いストーリー展開を活かした、正統派の喜劇オペラという雰囲気で劇場内の観客の皆さん全員で楽しんで観ることが出来ました。

やっぱりみんな、恋の物語はハッピーエンドになって欲しいもんね。
オペラの夢の世界では特に…
せめてひと時、現実を忘れて…



幸せな夢を見て、フィンランド国立オペラ劇場“Ooppera”を出ると、外は夢の続きのようなブルーモーメントに包まれていました。
初夏の北欧は昼と夜の境目も曖昧なまま、束の間の夢の季節を楽しんでいるかのようです。

#017:フィンランド・ヘルシンキ街歩き トラムに乗って鉄道巡りに続く