海の幸、山の幸、うちの幸

のんきなお料理記録のはずが、いつの間にかレット症候群という難病の娘と日常のあれこれの記録に…。

24年ぶりの帰宅

2021年11月29日 | いろいろ
成田空港の出発ゲートの、ちょうど向かい同士で手を振り別れた。
彼女は新婚旅行で南の島へ、私は留学中だったイギリスへ✈。
嫌だって言ったのに、偶然にも出発が同じ日の同じ時間だから。
と強引に決められ、一緒に空港まで行く羽目に…
なんで新婚旅行のカップル💕と一緒に空港に行かなきゃならないんだょ。
と、内心トホホ😔な感じだった。
でも、3年のビザがあった私は、この先何年も会えなくなるかもしれないと思い直し、
笑顔で思い切り手を振った。
それが元気な彼女の最後の姿になるとは思いもせずに。

1995年、大親友が結婚するというので、一時帰国し式に出席した。
私は5年務めた会社を辞め留学中で、彼女とは会うのは半年ぶり。
少し痩せていたのが気に掛かった。
そして次に会ったのは一年半後、亡くなる2日前だった。
胃がんで、あっという間に逝ってしまった。

21だったか22だったか…
若い頃の二人は元気が有り余りすぎて、
ハワイのトライアスロンに出よう!!と決めた。
レーサーの自転車を専門に扱う我孫子のお店で、
お揃いのロードレーサーをオーダーメードで作った。
彼女は鮮やかな蛍光ピンク、私のは蛍光オレンジ。
ど派手にならずに優しい仕上がりになったのは、中心部分に白が入ったからかな…
サドルをメッシュの白に替えたら、サービスで割引してくれたっけ。
30余年も前のことだ。


去年、娘に新しい自転車を買った。
店の人が「処分する自転車を無料で引き取る」と言う。
実家にあった彼女の色褪せた蛍光ピンクの自転車を引き取ってもらった。
今では私のものとなっていた彼女の形見のロードレーサー。
うちに来て20年以上も経っていたけれど、ずっと捨てられなかった。
何度手放そうと思ったことか。
でも、手放すにはもの凄いパワーが必要だった。
そしてついに。。。断捨離決行!
その夜は、気持ちが不安定になり寝付けないまま時間が過ぎた。

結局、朝一で自転車屋さんに電話をかけた。
やっぱり処分はやめます。と。

こうして、私の断捨離は失敗に終わった。
一夜だけ手放し、わかったこと。
大親友だった彼女との大切な時間は、
20年以上過ぎても色褪せないということ✨✨。

そして、どうしても処分できなかったロードレーサーは、
しばらくの間、我が家の玄関に鎮座していたが、
結局、彼女の実家に引き取ってもらうことになった。
彼女の実家に持って行くと、80歳を過ぎたご両親が、
目を細めながら彼女のロードレーサーを迎え入れた。
24年ぶりの帰宅。
天国の彼女は、どう思っただろう。
私のこと、
「おばさんになったね!」って笑っているかもしれないね。
だって、ロードレーサーなんてもう乗れないもの

 
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