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変わるC型肝炎診療:現状と将来 北大坂本教授より

2013年03月17日 | 学会研究会報告新聞記事など
変わるC型肝炎診療:現状と将来
北大 坂本直哉教授から講演がありました。
テラプレビルでの皮疹がでやすい患者さんは実は、高尿酸血症を背景に持っている人が多いかもしれないとアロプリノールを飲んでいる人に多い傾向がありそうだと報告あり、気を付けて見てみようと思いました。

新しい三剤併用(インターフェロンとリバビリンとプラスのかたち)としては
TMC435はsimeprevir(シメプレビル)と名前がついて、1日1回ですむこと(12週飲んで)総治療期間は24週で終わることなどとても期待できる内容でした。早ければ今年末には使えるようになるのではと言われています。

飲み薬だけの治療は2剤の組み合わせで世界で12種類の組み合わせが進んでいること。日本では1つ行われていること。早ければ来年の末には使えるようになるのではと話されていました。そして1b型の方が効きやすいという試験データも出ているそうです。
そんな中Sofosbuvirを用いた試験では耐性が出づらく、2型では100%のウイルス消失(10例ですが)だったそうです。

ウイルスが消えたあとの発がんについては、肝の線維化についてフィブロスキャンを用いた検討が報告されて、線維化や脂肪化が強い人には要注意でフォローした方がいいとのことでした。

将来的に血小板などを用いた内科医でもわかる指標が出たらいいなあと思って聞いていました。
それにしても、どんどん新しいことが出てきていて、もっともっと早くいい治療が出てきてくれることを期待せずにはいられないなあと思いました。

この講演は以下の連絡会研修会に含まれていた物です。

北海道肝疾患診療連携拠点病院等連絡会及び肝疾患専門医療従事者研修会
平成25年3月10日日午後2時~研修会がありました。天気はすごいことになっていたので、少し早めに終了しましたが、とてもいい会でした。
まずはじめに連絡会として旭川医科大学の高後教授から挨拶があり、現在行われている北海道の肝疾患対策の概要が報告されました。
北海道肝炎対策協議会として平成25年3月18日に行われること、これは、患者さんや支援者の方も傍聴に行く予定です。
医療提供体制の整備は、拠点病院と肝疾患専門医療機関の指定を行って専門医療機関がわかりやすくなるように取り組んでいることがわかりました。現在道内の144施設が指定されていますが、ない地区もあり、今後も課題として報告されていました。
また肝疾患診療の向上と均てん化を図るためにこう言った連絡会を立ち上げたり各地で研修を行っていることはとても大事だなあと思いました。この間札幌と函館で行われてきています。
患者住民サービスとしては肝炎ウイルス検査の実施の実績が報告されて、23年度は道立保健所で379件(22年度340件)、道補助で市町村が行った検査件数は30410件(22年度14178件)政令指定都市はのぞくとして。
まだまだ、十分な件数とは言えませんが確実に件数を伸ばしていける気がしました。いろんな対策が重要ですが何よりも道民に知ってもらうことが必要であることが強調されていました。

平成24年度に行った道南地区の肝炎ウイルス検査の出張検診は件数を質問したところ4件でした。これも広報的な周知が必要であることが浮き彫りになっています。

肝疾患相談センターは、北大、札医、旭医と展開されて、相談件数もどんどん増えていることが報告されていました。

医療費の助成としては、平成24年度は予算として11100人、平成23年度は10593人が受けていたとのこと。

普及啓発はリーフレットを作成配布、肝炎患者支援手帳を配布しています。

どの対策も熱心に検討されていることが伝わってきます。まだまだ伸ばしていけない部分で、より早急に進むことを期待し、また私たちができることを頑張っていけたらいいなと思いました。

道内肝疾患診療の均てん化を目指した旭川医大病院の試み
大竹孝明先生から講演があり、かかりつけ医の啓発にWebを用いたり、主張研修会を行ったりと忙しい合間を縫って活動されている様子を聞いて、とてもうれしくなりました。これからもっともっといい形になることが期待されます。

肝疾患相談センターの活動内容と今後の取り組み
札幌医科大学の佐々木茂先生から講演あり、開設当初は月9件であった相談が現在は60件ほどとなりさらに増えてきていること。
肝臓教室もテーマを工夫して取り組んできていること、患者さんたちのサロンや啓発活動、アンケート調査などの報告がされていました。その中で、肝炎ウイルス検査の存在を知らない人や入院などで検査を受けていることを知らない人もたくさんいることが浮き彫りとなり、医療従事者の啓発や道民の啓発が重要であることがいつもながら確認されました。
自発的に受診してくれることも重要ですが、健診などに組み込むなどの工夫もさらに検討を要するとのことでした。

 
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