ヤマアカガエルの産卵に春を知る日

山里の日々の生活と自然、そして稼業の木工の話

ライティングチェストの完成

2013年03月12日 | 木工
家具ができて、納品に伺いました。




ショウケース付きチェスト。


上部のショウケースのアクリル板は静電気で埃が付くので
養生の紙をはがさないで嵌め込みました。
ガラスの棚板も業者から受け取った時の養生の紙をやはり取らないまま納品にお伺いしました。
つまりアクリルやらガラスの紙をはがし、
ちゃんと部品が付いた完成品を見たのは作者の私もお客様のお家で始めて、ということになります。
LEDを付けると透明な部品が綺麗に冴える。
下もガラスの引き違いです。









こちらがライティングチェスト。


1番上がガラス引き違い。
2番目が木の引き違い扉。
3段目がビューロー。
4段目引き出しと机板の腕木。
下が観音開き扉。


どちらの家具もクルミ材です。




家具の能書きをすこしばかり。




LEDとスイッチ。

配線をうまく隠せたと思う。
スイッチがあまりかっこいいものが見つけられずちょっと残念。
裏板にPCなどの配線穴があり、コンセントも付けてあります。









鏡が出てくる仕掛け。

上と左側に付けた溝を、鏡の枠に付けたダボがスライドして鏡が出てくるような仕組み。



机になる蓋の仕組みについての講釈を。








上の図が普通のライティングビューローの蓋。
黒い点が蝶番の支点を示しています。
閉めたときにどうしても蓋が本体の箱の前に出てしまう。

下の図が私考案の蓋。
支点を本体の中に入れたので、締めたときにすっきりと収まる。
でも工作はめんどくさい。




これは我が家で使っている上の図のような蓋の構造のもの。
ほら、蓋が前にとび出ているでしょう。





さて、仕事の合間に古いちゃぶ台の修理をしました。




我が家に古くから伝わるものです。
よくある足がたためるやつ。
子供が勉強によく使っているのですが、だいぶガタがきているので修理することにしました。




ホゾも手作業で作ったものと分かります。

ばらして、欠けた部材などは補修し、
よい糊を付けて締め直し、調整をしてまた組み立てました。

このような足のたためるちゃぶ台を自分なりに作ってみたいとずっと思っていますが
いまだに良いアイデアが固まらず、作るに至りません。

この古いものを修理して思うこと。
まず、材料の選択。要所にはもっと硬い木などを使わないと強度が出ない。
たたむしくみも、力のかかり方とかを考えると、これではいずれガタが出るのはいたし方ない。

でも、ではどうすればもっと良くなるのか、その答えが見つけられない。
何よりも、これで何十年と使えてきたのだから、
これでいいんじゃないかともいえる。




何より、この使いこまれた風合いがすごい。
これもまた木の良さ、美しさだと思う。
使い込んできれいになって、家族の記憶を刻んでゆく。
そして最後には自然に帰る。



木という良い素材を仕事にできて、幸せに思います。